【呪術廻戦】今度こそ、【夏油傑】

拾 ページ11

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　今日のAAは確実にツイてない。

　朝からツイてないとは思っていたが、さっきスマホで確認したら星座占いが12位だった。やっぱりそうか。

　久しぶりのデートなのに寝坊するし、メイクも髪も決まらないし、一口も食べてないクレープは台無しにするし、その上、

「傑、ちょっと待っ…傑っ！」
「……」

　デート中に突然恋人の機嫌が悪くなった。


　久しぶりに会った親友と積もる話もあるだろうからとファミレスに入ったところまでは良かった。もっと言えば、傑がAを適当に紹介し終えたところまでは何の問題も無かった。のだが。

　水を手渡してくれた後、ふと気付けば傑は作ったような笑みを浮かべていたのだ。

　Aが丁度食べきったのをいいことに、「そうだ用事を思い出したから私たちはこれで失礼するよ」なんて見え透いた嘘で席を立つ。本題の『ほ』の字も聞けなかった悟が引き留めるのを適当に流して、傑はAの手を引いて店を出た。

　今はというと、その長い脚をフル活用してAをほぼ引きずるように人混みの中を歩いている。


　傑が作り笑いをする時はとてつもなく機嫌が悪い時だ。それはわかる。わかるのだが、原因が全くわからない。

　Aは口を挟んでいないし、傑のハンバーグを貰ったのも水を取ってもらったのもいつものことだ。Aにだけはいつでも際限なく甘い傑をここまで怒らせるようなことじゃない。

　何で怒ってるんだろう……？
　これは何処に向かってるの……？

「す、傑……？」
「……」

　伺うように名前を呼ぶが、相当お怒りらしい恋人は相変わらず無言のままだ。

　途中で掴み直された手首はちょっと、いやかなり痛いし、歩く速度にもほとんどついていけない。
　何せ傑とは体格差がありすぎる。手の大きさも握力も傑には遠く及ばないし、身長も脚の長さだって全然違う。

　全てをAに合わせてくれていた普段の優しさに改めて気が付いてきゅんとする。それと同時に、いつもより少し乱暴な傑にもどきっとしたり。

「わっ！」

　……なんて場違いなことを考えてると、突然立ち止まった傑の背中にぶつかった。

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