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Aはふらっと理子ちゃんに近づき、理子ちゃんの肩を持って振り返らせると、その頬を思いっきりぶった。
急なことに私も目を大きくさせる。

「繋いでもらった命、簡単に捨てるようなこと言うんじゃねぇよ。私が聞いてんのは、全てを捨てて生き延びる覚悟があるかどうかだ。ねぇなら、今ここで私が斬り捨ててやる」

Aは刀を抜いて、その刀身を理子ちゃんの首に添えた。
その目は本気だった。

理子ちゃんはAを涙を滲ませた目で睨みつけていた。

「……世の中、人は腐るほどいる。クソみてぇなのも多いが、嫌がる奴すら日のもとに無理矢理引きずり出そうとするような馬鹿も沢山いる。お前の大切なその人の代わりはいねぇ。だが、どっかには、いずれお前が大切にしたくなるような奴がいるだろうよ」

それは、まるで自分のことを話しているような口ぶりだった。
きっと、真選組のことを話しているんだろうと、わかった。

「そんなのっ……信じられぬ……!!」
「なら、それを確かめるために生きてみろよ。本当に違ったら、私の事をぶん殴りに来い」

Aは、とめどなく涙があふれる理子ちゃんの目を真っ直ぐ見つめて、刀を収めた。
そして、その頭に手を置いた。

「遺された奴の、遺して逝った奴への報復は、一生、忘れてやらねぇことだ」

それは芯の通った、Aの意志を強く感じられる声だった。

Aも、遺された側の人間なのだろう。
Aらしい言葉だと、思った。

「私がお前の出入国を手配する。パスポートと保護の準備が整ったら、こいつらがお前に知らせるだろう。国は選べねぇが、我慢しろよ」

ふらふらと、白い煙を一筋残して、出口に向かうAを全員が目で追った。

「なぜ…………なぜ、会ったばかりの妾にそこまでしてくれるのじゃ」

Aは扉の手前で足を止めた。振り返ることはなかった。
その代わり、ふーっ、と大きく息をついた。白い息が空気に溶ける。

「……私の尊敬する人が私たちにしてくれたように、私も、目の前に落っこちてきたモンを拾っただけだ」

そう言い残してAは部屋から出て行った。

優しさは気を持たせることもある(夏油)→←人は良くも悪くも影響されるもの(夏油)



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フルーツパンチ侍(プロフ) - きょきょさん» ありがとうございます(^ ^) これから最終章に向けて主人公サンの事が明らかになったり、ちょっとシリアスになっていきますが、主人公サンが必死で食い止めるみたいなので応援してあげて下さい┏○ (9月28日 21時) (レス) id: 7959978e00 (このIDを非表示/違反報告)
きょきょ - この作品すごく大好きです!更新楽しみにしてます! (9月27日 20時) (レス) @page14 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月23日 11時

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