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焦っている、と言われて俺は思い当たる節があった。確かに俺は焦っていたのかもしれない。
あの男にやられてから呪力の核心を掴み、反転術式を扱えるようになった。
虚式・茈も習得して、それを機に、俺は一段階進化した。
それに合わせるように任務も一人で派遣されるようになり、特級にも認定された。
六眼と無下限呪術の使い手である俺は、この先、呪術界の一端を担うどころか、呪術界を左右する存在になるだろう。
いずれ俺には呪術界の全てがのしかかってくるようになる。それまでに俺は名実共に“最強”になってなくてはならない。
そう、思っていた。
「強さっていうものはな、他人や自分のために求めるもんじゃねぇぞ。テメェの魂、護るために求めるもんだ」
急に話し出したAに俺は目を向けた。
Aは俺の方を見ず、ただ前を向いていた。
「どうしても曲げられねぇもんを……信念を、魂を、曲げずにいられるように、強くなるんだよ」
そう言ったAの目は遠いどこかを眺めていた。
信念、なんて考えたこともなかった。
特に信念もなく、俺はただ力があるから、今まで呪術界でこうして生きてきた。
「まぁ、要するに、悟はまだ17年しか生きてない青臭いクソガキだってことだ。そんなに焦る必要もねぇだろ」
「誰が青臭いガキだ。子供用のポップコーン製造機定期的に回してるやつに言われたくねぇわ」
「え。ちょ、なんでお前それ知ってんだよ?!どこから聞きやがった?!」
「誰が教えるか!!バーカバーカ!」
「バカっていう方がバカだかんな!!それに今お前が言ってることの方がガキくせぇかんな!!橋◯カーンナ!!!」
「いつのギャグだよそれ!!!」
俺を捕まえて情報源を吐かせようとしてくるAから全力で逃げる。
こんなことも久しぶりで、俺の口角はいつの間にか上がっていた。
Aの前では、俺はただのクソガキでいられた。
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フルーツパンチ侍(プロフ) - きょきょさん» ありがとうございます(^ ^) これから最終章に向けて主人公サンの事が明らかになったり、ちょっとシリアスになっていきますが、主人公サンが必死で食い止めるみたいなので応援してあげて下さい┏○ (9月28日 21時) (レス) id: 7959978e00 (このIDを非表示/違反報告)
きょきょ - この作品すごく大好きです!更新楽しみにしてます! (9月27日 20時) (レス) @page14 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月23日 11時