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そして俺にあんなことをしておいて、俺がAを掴もうとするたびにその手からするっと抜けていくのだ。
一気に目の前まで来たと思ったら、かすみのように消えている。
「…………Aが、絡めてきたんだろ」
俺はAの方を振り返り、その目を見つめた。
感情が読み取れないAの表情の奥に、Aのとろけたような顔を思い出す。
あの時の俺は、羞恥心、興奮、幸福感、快感でぐちゃぐちゃになっていた。
熱のこもった下半身を隠すことすらままならなかった。
それを全て見透かしたようにAに強制シャットダウンをされたのだ。
絡めてきた理由なんてわかってる。
それでも、俺は聞きたかった。期待したかった。
「……私が求めてしまいそうになったからだ」
思っていた答えとは違う、俺が期待していたような答えが返ってきて俺は目を見開いた。
だがその目は、期待していたような目ではなかった。
少し下の方に伏せ目がちにそらされた目は、苦しそうだった。
回そうとした俺の腕の中から今回もAはするりと逃れていった。
「………悟は生きて、ずっと馬鹿みたいに笑っていてくれ」
振り返ったAは、本来、明日も約束されていないこの世界で、Aはそんな大それたことを言いながら、眉尻を下げて笑った。
その言葉、俺に向けられた目が表すものは、紛れもなく、愛。
俺へのそれは、特別であって、特別ではなかった。
でも、それでもいい。それでも、少しだけでも、俺の方に傾いてくれたなら、一気に引き摺り込んでやる。
俺のこの感情とAのそれは、似て非なる別物だ。
それなのに、俺を映す目が、俺に投げる言葉が、あまりにも愛にあふれていて、それをいつか俺だけに向けてくれるようになるんじゃないかと、思ってしまうのだ。
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フルーツパンチ侍(プロフ) - きょきょさん» ありがとうございます(^ ^) これから最終章に向けて主人公サンの事が明らかになったり、ちょっとシリアスになっていきますが、主人公サンが必死で食い止めるみたいなので応援してあげて下さい┏○ (9月28日 21時) (レス) id: 7959978e00 (このIDを非表示/違反報告)
きょきょ - この作品すごく大好きです!更新楽しみにしてます! (9月27日 20時) (レス) @page14 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月23日 11時