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俺はAのベッドに上がって、全身でAに抱きついた。
その存在を確かめるように、ずっと、抱きついていた。
Aの体は、ちゃんと温かかった。
やっと、自覚する覚悟が出来たというのに、俺たちがAと会う機会はめっきり減った。
最近は自習にも来やがらねぇ。
任務の担当補佐監督も、Aじゃない。
Aと会うのは体術訓練の時ぐらいだ。
「悟!!お前は体術の基礎がなってないんだから基礎から一年坊とやり直しだ!!」
「はぁー?!なんで俺が1年と!!」
Aは俺によく突っかかってきた。あの時うっすらと聞こえていた、Aの声。
死にかけて、呪力に集中している時に俺の名前を呼んだ、聞いたこともない動揺した、震えた、声。
最後に瞼に触れて去っていったAに手を伸ばすことも、あの時は叶わなかった。
今は目の前に、へばる灰原を見下ろすAがいて、その頭にはすぐに手が届く。
「……なんだ」
「…………いや、Aチビになったなぁって」
「…………お前は今日から一日1センチ縮むんだよコラ!!!」
「い”っでぇ!!!なにすんだ!!!」
「天誅ぅぅぅううう!!!」
俺はあの日からあからさまに逃げていたのに、Aは何事もなかったかのように普段通りに接してくれていた。
自分のガキさ加減を思い知らされる。
Aにクソガキと言われるのも仕方がないのかも知れない。
1人での任務はさっさと終わらせて、Aの部屋に遊びにいったりもした。
だが今になってAの部屋で2人きりというのは、気持ち的に落ち着かなくなった。
今更、Aの一挙一動が気になってしまうのだ。
一度認めて覚悟をしてしまったら、欲が出てくる。
だが、それを出したところで、きっと、あの旅行の時のようにさらっとかわされ、俺の気持ちだけをその場に置いていかれるのがオチなのだ。
叶うはずがないもの、ということは、最初からわかっていた。
だが、その不可能に近いものを実現させるのが最強たる俺なんじゃないかとさえ、今では思ってしまう。
あのAにどう仕掛けるか、そんなことばかりをひたすら考えていた。
俺の脳内は知らず知らずに、Aに支配されていた。
純粋無垢な心を持つ人には結構心えぐられたりする→←芽というものは意外としぶとい(五条)
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フルーツパンチ侍(プロフ) - きょきょさん» ありがとうございます(^ ^) これから最終章に向けて主人公サンの事が明らかになったり、ちょっとシリアスになっていきますが、主人公サンが必死で食い止めるみたいなので応援してあげて下さい┏○ (9月28日 21時) (レス) id: 7959978e00 (このIDを非表示/違反報告)
きょきょ - この作品すごく大好きです!更新楽しみにしてます! (9月27日 20時) (レス) @page14 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月23日 11時