芽というものは意外としぶとい（五条） ページ13
Aが1ヶ月も目を覚まさなかった時は、本当に精神的にかなりきていた。
俺があそこであいつにしてやられていなければ、Aがこんな事になることもなかったし、Aとの体術訓練をもっと真面目にしておけば、あいつの気配にも気づけて、体術で対応も出来て、ああはならなかったかもしれない。
俺があの場に着いた時、Aもあの男もぼろぼろだった。
Aが、そこまであの男を追い込んだということだ。
最強と呼ばれた術式と六眼をもつ俺が、かすり傷すらつけることが叶わなかったその男を追い込んでいたのだ。
Aは恐ろしく強かったのだと、その時改めて思い知った。
1度目覚めて、スタスタと平然のように歩いていたAを見て、元気になったのだと錯覚していたが、Aは隠すのが上手いということを、俺は忘れていた。
その後、倒れたAを見つけた時は、心臓が転がり落ちたかと思った。
もう見逃してやらない。そう心に誓った。
Aは俺が医務室にいた時に目を覚ました。
久々に聞いた声に、俺は顔を上げた。
「A…………？おい……起きたのか……？A…………」
「…………さと、る……？」
名前を呼ばれた瞬間、俺はたまらず抱きついていた。
これ以上触れ合うと、知ってしまうと、引き返せなくなるなんてことは、わかっていた。
そして、その先に待っているのは終わりのない胸の苦しみだけだということも、わかっていた。
それでも、俺は抱きしめずにはいられなかった。
これ以上、俺の中を侵食されないように、この心にあるものに完全に気づいてしまわないように、自分が傷つきたくないがために、俺の心にいつの間にか顔を出していた芽を押し込み、土をかぶせていた。そうした途端、その芽は要らないんだろ、と引っこ抜かれそうになって、俺はそれを必死に守った。
そんなこと、許せなかったのだ。
自分から埋めて、離れていたというのに。
こうなっては、この俺の心に顔を出した芽を、自覚せざるを得ない。
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フルーツパンチ侍(プロフ) - きょきょさん» ありがとうございます(^ ^) これから最終章に向けて主人公サンの事が明らかになったり、ちょっとシリアスになっていきますが、主人公サンが必死で食い止めるみたいなので応援してあげて下さい┏○ (9月28日 21時) (
レス) id: 7959978e00 (このIDを非表示/違反報告)
きょきょ - この作品すごく大好きです！更新楽しみにしてます！ (9月27日 20時) (レス) @page14 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルーツパンチ侍 | 作成日時：2023年9月23日 11時
