優しさは気を持たせることもある（夏油） ページ11
あれから、少し離れた場所で、携帯を握りしめながら気を失っているAを見つけ、また私達は肝を冷やされた。
その日からAは1ヶ月、起きないままでいる。
心臓の鼓動が弱くなっていると硝子から聞いた時は、私の心臓も止まりそうになった。
私は結局、Aに守られてばかりだった。
その事実が私に重く、のしかかる。
それからAの容態が悪化することもなかったが、なかなか回復することもなかった。
夜蛾先生がたまに覗きに来たり、Aの同僚の補佐監督達が見舞いを持ってきたり、悟に至っては毎日暇さえあればAのことを見つめて、夜も医務室でAの眠るベッドの横に椅子を持ち出して、うつ伏せになり眠っていた。
Aが眠っている間に匿名でA宛にパスポートと渡航先の詳細が記載された書類が届けられた。
それは完璧な偽造パスポートだった。
てっきり本物が送られてくると思っていた私達は面食らった。
どんなコネでこんなものを手に入れたんだこの人は……。
そして、理子ちゃんはAと話すことも出来ず、出国して行った。
なんの罪もない少女が命を狙われ、家族を奪われ、国を追われるこの世界に、私の胸には小さな疑念が生まれていた。
悟は、最強になった。
今まで一緒にやってきた任務も、別々でする事がほとんどになった。
私は今日も明日も、日に日に積もっていく、自分の心の疲労に気づかないフリをする。
Aのいない夏は一瞬で過ぎ去り、少し肌寒くなってきたその頃、Aが目覚めた。
「おい悟……重いし苦しい……」
私がその知らせを聞いて駆けつけた時には、既に悟がそこにいた。
上体を起こしたAに足も腕も巻き付けて抱きついていた。
その光景を見て、悟の体でAから私の姿が見えないのをいい事に、私はその場を立ち去った。
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フルーツパンチ侍(プロフ) - きょきょさん» ありがとうございます(^ ^) これから最終章に向けて主人公サンの事が明らかになったり、ちょっとシリアスになっていきますが、主人公サンが必死で食い止めるみたいなので応援してあげて下さい┏○ (9月28日 21時) (
レス) id: 7959978e00 (このIDを非表示/違反報告)
きょきょ - この作品すごく大好きです！更新楽しみにしてます！ (9月27日 20時) (レス) @page14 id: c9d0d6f436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フルーツパンチ侍 | 作成日時：2023年9月23日 11時
