育成失敗しました、めんご。

1-1：#育成失敗#対処法 ページ3

*





『本日から悟様の護衛とお世話をすることになりました、Aと申します。』




初めて彼に紹介された時、まるで天使でも見ているのかと錯覚するぐらいには感動した。

第一印象は天使みたいな子。




「護衛？お前が？この前死んだやつより雑魚じゃん。」


『あ''？』




第二印象はただの生意気なクソガキ。

初対面の相手にお前だの雑魚だの言うのはどうかと思ったけれど、私を映す瞳が思いの外寂しそうで喉まで出かかってた言葉をぐっと飲み込む。




決めつけは良くないが雑魚だと決めつけられたから言わせてもらう。

彼は他人の都合で自由を奪われている可哀想な子だ。


最初に芽生えたそれは同情。




このままじゃいつか彼が潰れてしまう。

そう思った時には勝手に口が動いていた。




『────。』

私はこの日、彼を巻き込んだ自分を縛り付ける呪いの言葉を吐いた。




何があってもこの子を守り抜くと誓い、この実力と才能重視の腐りきった御三家の中で少しでも伸び伸びと暮らせるお手伝いをしようと心に決めた。

あわよくば性格のいい誰からも好かれる優しい子に育て上げてやろう、と。









それが今から数年程前の出来事。









「A以外興味ねーし、厚化粧のブスに興味ないんだけど。」


『うっっっわ、クソじゃねぇか。』

お見合いをしている部屋の外で静かに待っていたものの、中から聞こえたセリフに思わず本音が漏れる。




拝啓過去の私へ


育成失敗しました。育て方間違えました。

めんごめんご。


敬具




当初の予定では今頃、数多の女性達を虜にする紳士的で優しい五条悟が出来上がっていたはず。

少なくとも私はそうなるように育てた。




なのにうん百年ぶりの無下限呪術と六眼を併せ持って生まれたおかげで親族から蝶よ花よと大切にされ続けた結果、こうなった。

じゃあこいつらのせいじゃん。私の育て方が間違ってたとしても大半はこの環境のせいだろ。


そーだ、きっとそうだ、と1人で頷いているといきなりふすまを開けられ我ながら情けない声が出る。




「ふっ、情けねぇ声。」


『あれ、悟様お見合いの途中では？』


「んなもん終わった。」

まだ10分も経ってないのに相変わらず早すぎるんだよ。





*

1-2→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す