育成失敗しました、めんご。

8：友達100人できるかな ページ18

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「今年の冬には同い年だな、俺ら。」


『追い越されるのも時間の問題ですね。』

制服姿の悟様を見て、遂にこの日が来たのかと実感する。




広い世界に飛び立っていく雛鳥を見守る親鳥の気分。




今日で悟様とはお別れ。

悪態つかれるのも、罵倒されるのも、朝キレられるのも……あ、翌々考えればいい事づくしかも。




「もっと悲しそうな顔しろよ。」


『今感情ごっちゃになってるので無理言わないでください。』




高校に行くのが夢だった私を差し置いて、楽しい楽しい学生生活を送るとか腹立つな。

あー、なんか段々イライラしてきた。




『私の分まで楽しんできてください。お友達100人作るんですよ？』


「無理、同級生2人だから諦めろ。」

奇数とか悟様ぼっちコースまっしぐらじゃん。




悟様は高校でもぼっちなのかよ。寂しんぼのくせに、と笑いそうになるがぐっと堪える。

今笑うと確実に私のクビが飛ぶ。




『……ん？待って同級生何人って言いました？』


「2人。」

スルーしそうになったけど2人って何、2人って。

呪術師不足ってのは知ってたけど少なすぎだろ。




その人達とは仲良くするんですよー、とサングラスをかけるために背伸びをすればそれに気付いた悟様も少しだけ背伸びした。

おい、何してくれとんじゃ。屈めよ。




「背伸びしても届かねーとかちっちゃ。」


『悟様が屈んでくれれば万事解決するのですが。なんですか背伸びって。』


「お前注文多いな。」

渋々屈んでくれた悟様の顔に数日前に街で買ったお高めのサングラスを装着。




「これ俺のじゃない。」


『入学祝いのプレゼントです。』


「ラウンド型とか買うやついるんだな。」


『居ますよ、あなたの目の前に。』


「なんでこれチョイスしたの。」


『悟様に似合うかなーと。』


「ゼッテー嘘だ。」




正解、その通り。

人によっては絶望的にダサくなるサングラスを悟様がつければどうなるのか気になって買いました。

制服といい感じにマッチしてヤクザにしか見えないけど。




「お前のセンス疑うわ。」

文句言いつつも外さないでくれるのが悟様らしい。









『お気を付けて。寂しくなったらいつでも電話かけてきていいですよ。』


「お前は俺の親か。」

生意気言っても許されるぐらいの信頼関係があると思うと、ちょっぴり嬉しくなった。





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