5話 ページ7
狗巻家の広い玄関で父と別れ、お手伝いさんに連れられて──────幼い私は、ある部屋の前に通された。
精巧な模様が描かれた襖。この中に、どうやらその「とげくん」とやらはいるらしかった。
「中で坊ちゃまがお待ちしております。私たちはお茶のご用意をして参りますから、どうぞ坊ちゃまと遊んでらして下さいませ」
彼女たちはそう私に告げた後、そわそわと足早に去ってしまう。…その後を気づかれないように追うと、こそこそと立ち話をしていた。
「大丈夫なのかしら、あんな小さい子を──────」
「旦那さまにも何かお考えがあるのでしょう。よく知らないけれど、特別な術式を持ってらっしゃるようだし」
「にしても、あの歳だとまだ術式を使いこなせる域には達していないでしょう。なのにあんな実験のような真似──────」
…あまりに神妙な面持ちで話しているものだから、私は聞いちゃいけないことを聞いてしまったような気がして、そっとその場を離れた。
お茶を持ってくると言ったあの人たちは、きっと当分戻ってこないのだろう。
そう直感的に思い、私はてけてけと廊下を歩き、さっきの部屋の前まで戻って来た。
ここにいるのは、私と同い年くらいの男の子。
私はその子と遊ぶために、今日ここへ連れてこられたの?
「ねぇ。……入ってもいい?」
それなら──────他にすることもないし。
「幽霊屋敷」だと噂のこのお屋敷のナゾを、私が解明してあげようじゃないか。
子供ながらにそう意気込んで──────私は襖に手をかけた。
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k - 棘くんに束縛されたい、、()続き待ってます! (6月9日 23時) (レス) @page18 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - のみさん» ありがとうございます(n*´ω`*n)性癖突き刺さってくれて嬉しいです…(( 完結目指して更新頑張りますよん!! (2021年4月24日 19時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
のみ(プロフ) - 更新される度に性癖に突き刺さります、さすが歴戦の友だと感涙しております…天才…ヽ(;▽;) (2021年4月24日 1時) (レス) id: 212beafd25 (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 陽菜月さん» ありがとうございます!! (2021年4月17日 22時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - ゆっぴとぅんさん» ありがとうございます!わかります、棘くんに束縛されたいですよね…更新頑張ります! (2021年4月17日 22時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つく | 作成日時:2021年2月22日 22時