3話 ページ5
「っ…………」
まるで獲物を見定める獣のように、ギラリと私を射貫く紫の瞳。
その目に見つめられると私は呼吸さえうまくできなくなって、冷や汗が流れた。
「……A」
低い声で呼ばれ、指でくいっと顎を持ち上げられる。
その間も私は指一本動かすことができず、ただ瞬きすることしか許されない。
「俺のこと、好き?」
──────棘くんは、ただ私にそう尋ねた。
好きだよ、大好き。棘くん、大好きだよ。
そう伝えたいのに、私は口をはくはくと動かすばかりで…伝えたい言葉たちは音となって発せられることなく、喉の手前で消えていく。
…すると、棘くんは切なそうに眉を下げて。
服に隠れた口元をさらけ出して──────告げる。
「……"好きって、言って"」
「──────すき」
棘くん、好き。
…口から出たその言葉は、果たして私の意思だろうか──────はたまた、強制された愛の言葉だろうか。
次の瞬間、固まっていた全身がふわりと解放された。
そんな私の身体を、棘くんの腕がふわりと抱き寄せる。…さっきとは違う、とても優しい仕草で。その腕の優しさに思わず涙が出そうになった。
「ごめん」
耳元で、小さな謝罪の声。
ふと気がつくと、私を抱きしめる腕は微かに震えていた。
「ごめん…おれ、Aが好き。だいすき」
──────震える声で、そう告げられた。
私もその背中にそっと腕を回し、「私も」と告げる。
「私も、だいすき。棘くん」
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k - 棘くんに束縛されたい、、()続き待ってます! (6月9日 23時) (レス) @page18 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - のみさん» ありがとうございます(n*´ω`*n)性癖突き刺さってくれて嬉しいです…(( 完結目指して更新頑張りますよん!! (2021年4月24日 19時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
のみ(プロフ) - 更新される度に性癖に突き刺さります、さすが歴戦の友だと感涙しております…天才…ヽ(;▽;) (2021年4月24日 1時) (レス) id: 212beafd25 (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 陽菜月さん» ありがとうございます!! (2021年4月17日 22時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - ゆっぴとぅんさん» ありがとうございます!わかります、棘くんに束縛されたいですよね…更新頑張ります! (2021年4月17日 22時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つく | 作成日時:2021年2月22日 22時