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2話 ページ4

職員室へ行くと言って、恵くんは少し前に行ってしまった。


その背中が完全に見えなくなってから、私は棘くんに向かって話しかける。



「…棘くん、怒ってる……?」



そう尋ねた瞬間、棘くんは何も言わずに私の手を掴んだ。「えっ」と声をあげる私をよそに、棘くんはそのまま私の手を引いて…ずんずんと廊下を突き進む。


「棘くん、どこ行くの」──────そう聞いても、棘くんがこちらを振り向くことはない。それほど彼は今、虫の居所が悪いということ。…この状況に少し泣きそうになりながらも、私はただされるがまま、早足で歩く棘くんに追いつくために必死で足を動かした。




着いた先は、校舎の隅の空き教室だった。…と言っても、生徒の少ないこの呪術高専じゃ、ほとんどの教室が空き教室なのだけど。


ここも長いこと使われていなかったらしく、物置同然になっていた。積み上げられた机や椅子、それから何かの備品には埃が積もっており、空気も悪い。…こんな所に一体、何の用事があるのだろう。そう考えていると、ガラ、という音と共に棘くんが扉を閉めた。



「棘く──────っ!?」



次の瞬間、強い力で腕を引かれ──────唇を奪われる。驚いて離れようとする私の頭を棘くんの手が押さえ込み、そのまま壁際へと追いやられた。




「──────"動くな"」




その言葉は、普段お喋りしている時とは違う独特の響きを帯びて私の脳内に届いた。




私の術式の関係で、棘くんが発した言葉によって呪われる危険は基本的にない。



でも今のように、本人の意思によって──────相手を呪わんとして発せられた言葉に関しては、私は為す術もなく従わざるを得ない。




びたりと身体を硬直させる私。


そんな私に棘くんは無表情のまま──────ゆらりと顔を近づけた。

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設定タグ:呪術廻戦 , 狗巻棘
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k - 棘くんに束縛されたい、、()続き待ってます! (6月9日 23時) (レス) @page18 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - のみさん» ありがとうございます(n*´ω`*n)性癖突き刺さってくれて嬉しいです…(( 完結目指して更新頑張りますよん!! (2021年4月24日 19時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
のみ(プロフ) - 更新される度に性癖に突き刺さります、さすが歴戦の友だと感涙しております…天才…ヽ(;▽;) (2021年4月24日 1時) (レス) id: 212beafd25 (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 陽菜月さん» ありがとうございます!! (2021年4月17日 22時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - ゆっぴとぅんさん» ありがとうございます!わかります、棘くんに束縛されたいですよね…更新頑張ります! (2021年4月17日 22時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:つく | 作成日時:2021年2月22日 22時

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