花火大会について ページ24
「宮井ってさぁ、花火大会行く派？行かない派？」
からりとした暑さの抜けない、夏の日の出来事。お昼休みに２人揃って教室でアイスを食べている最中、急に五条先輩が私に尋ねた。
「花火大会ですか？去年までは毎年行ってましたけど…」
「ふぅん。俺は行かない派」
「五条先輩、人ごみ苦手そうですもんね」
水滴のついたカップの中、溶けかけのアイスをすくって黙々と口に含む。今日は私と五条先輩以外の生徒が任務で出払っているため、いつも以上に静かだ。
窓の外を見ると、ひこうき雲。
真っ青な空にすっと伸びた一本の白い線が綺麗で、つい見入ってしまう。
「…行く？」
「え？」
「花火大会」
同じく窓の外を見ていた五条先輩が、ふと、そんなことを言い出した。
「いや…五条先輩、ついさっき行きたくないって言ってたじゃないですか」
「そうだけど。…お前が行きたいなら、行ってもいいっつってんの」
「…ふ。先輩、耳真っ赤」
「っるせぇなぁ！行くのか行かないのか、どっちなんだよ」
空になったアイスのカップを術式でくしゃくしゃに潰して、私を睨む五条先輩。…でも、残念。ここら辺で開催予定の花火大会は、つい一週間前に実施されたもので最後だ。その旨を五条先輩に告げると、五条先輩は悔しそうに机に突っ伏して、残念そうな声を漏らした。
「マジかよ」
「実は行きたかったんですか？花火大会」
「いや、お前が行きたそうにしてたんじゃん。昨日」
「私が？いつ？」
「傑と話してただろ。昨日の夜、寮の前で」
そう言われ、昨日のことを思い出してみる。確かに昨日、夏油先輩と帰りが一緒になって少し話したけど。
「あー…あれは、社交辞令っていうか。夏といえば花火大会ですよね〜って話してるのに、『まあ私、人ごみ苦手なんですけどね』とは、さすがに言いづらいじゃないですか」
「お前も人ごみ嫌いなのかよ。気遣って損した。そういうのはもっと早く言えって」
「せっかくお気遣いいただいたのに、スミマセン」
「分かればよろしい」
平謝りしながら、空になったカップを机の上に置く。
外では蝉がミンミンとせわしなく鳴き喚いていて、あぁ、夏だなぁ―――という気分になった。
午後の授業は、ずっと自習。急遽任務が入ればそれに出るけど、今のところその予定は入っていない。
「―――じゃあ、今からするか」
―――だから五条先輩がそう言い出すだろうというのも、何となく予想はできていた。
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つく(プロフ) - のみさん» のみ先生ありがとうございます…！のみ先生からの励まし、とても力になりました。今後ともよろしくお願いいたします…！ (2021年2月20日 13時) (
レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - へかーてぃあ@夢見月*小夜セコム隊さん» ｵﾜｧ！最初から読んでいただいてありがとうございます…！続編についてもいつか公開すると思いますので、また楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 晩鶴紫呉さん» ありがとうございます〜！続編についてもぽちぽち書き進めている最中ですので、いずれ公開します！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - はにゃさん» ありがとうございます！続編もいずれ公開されると思いますので、その際はよろしくお願いします〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
つく(プロフ) - 五音さん» コメントありがとうございます！続編については制作中ですので、ある程度アップできる状態になったら公開しようと思います〜！ (2021年2月20日 13時) (レス) id: 90f06cbeae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つく | 作成日時：2021年1月16日 1時
