24話 ページ24
マサイside
＿＿＿＿｢…マサイ｣
そう言って、目の前で涙を食いしばるAの姿を見るのが、辛かった。
マサイ｢泣くなよ｣
｢…ごめん｣
マサイ｢謝んな｣
｢…うん｣
こんなに弱々しい姿を見たのは初めてだった。
いつも強気なAが、自分だけに見せてくれた弱々しい姿に、心を鷲掴みにされる。
マサイ｢全部話して｣
｢うん｣
無言でAの手を引いて、見慣れた公園のブランコに並んで腰をかける。
Aはしばらく小さく息をするだけで、Aの口から吐き出た白い息を、俺はただぼんやりと眺めることしか出来なかった。
＿＿＿＿｢全部話したら、私のこと嫌いになるかも｣
…そんなこと、なる訳ないのに。
…どれだけ努力しても、出来なかったのに。
…そんなに不安にならなくたって、いいのに。
マサイ｢ならない｣
｢もしなったら、嫌だ｣
マサイ｢絶対ならないって｣
そう言い張った俺を、Aはゆっくりと見上げた。
その至近距離でぶつかる視線に、その甘い声に、その純粋な心に、
俺は虜になっていく。
底がない沼に沈むような気持ちだ。
ゆっくりと言葉を選ぶように開いたその唇に、目をやる。
＿＿＿＿｢経った1日で、シルクのこと、好きになっちゃった｣
そして
ズキン
と痛々しく刺さるフレーズ。
…好きになっちゃったっていうか、ずっと前から好きだったんだろ。
なんて言える訳もない。
マサイ｢…うん。そう。それで？｣
｢…私、ずっと仕事場の先輩に片思いしてたのに、｣
マサイ｢うん｣
｢…シルクに優しいこと言われたら、凄く好きになっちゃって｣
マサイ｢うん｣
｢…もう、シルクしか、見えてないの｣
＿＿＿＿もし、俺が家に持ち帰って、優しい言葉をかけていたら、俺のこと好きになった？
一晩隣に寝てたら、俺のこと好きになった？
所詮全部、相手がシルクだったからだよな。
そんなこと、もう分かってるよ。
マサイ｢…よしよし｣
｢…マサイ｣
マサイ｢だから泣くなって笑｣
｢…今度会えるの三ヶ月も先なの｣
マサイ｢そっか｣
｢なのに私、好きだって言われて、びっくりして何も言えずに怖くなって…｣
マサイ｢もう、言わなくていい｣
｢…｣
マサイ｢もう何も言わなくていいから｣
＿＿＿＿心の中は、絶対に他人に知られてはいけない。
Aの声を聞く度に溢れそうになる器に、優しく蓋をして。
そっと目を閉じて。
きっと、その繰り返しなんだ。
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おさかなマン(プロフ) - もう終始キュンッキュンです！次回が楽しみすぎます！！！ (2018年9月30日 0時) (
レス) id: 3258402eb8 (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - レンズと君とは違い立場が変わり、とても楽しく読まさせて貰ってます。本当にいつもありがとうございます！頑張って下さい！ (2017年2月27日 22時) (レス) id: b305c76d28 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 晴留(プロフ) - gray22さん» もう既に号泣ですっ！ (2017年2月26日 20時) (レス) id: a897dc61cf (このIDを非表示/違反報告)
gray22(プロフ) - お茶呑み星人さん» 凄い褒めていただいて…嬉しい(*^_^*)ありがとうございます！こちらこそ、大切に読んでくださりありがとうございます(^^) (2017年2月20日 20時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
gray22(プロフ) - 出雲 晴留さん» 遅れました！マサイくん好きなので笑 嬉しすぎますありがとう(*^_^*)27000hitびっくりしました笑 凄い！ これからも楽しみにいて頂けるよう頑張ります！ (2017年2月20日 20時) (レス) id: 8a5be1dd18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：gray22
| 作成日時：2017年1月10日 20時
