罪状３０※修正 ページ31
手で目を擦ると、当然濡れた。
すると、押さえていた蓋が取れたのだろうか。
涙が溢れてきて、ポタポタと服の上に落ちる。
「玲羅さん、これ使って。」
江戸川少年から差し出されたハンカチを使って、目を拭う。
滲んでいた視界が晴れると同時に、頭の上に重みを感じる。
そして、目の前に見えたのはぶっきらぼうに結ばれたネクタイだった。
「嫌だったら言えよ。」
そう言ったのは、意外な一面を見せつけてくる松田だった。
そんなキャラだったか、君。
頭を撫でられ、溢れた感情が落ち着きを取り戻してきた。
視界の端で、松田を見て驚く面々が見えた。
当たり前だろう、警察学校でもこんなとこ見せつけられたことないだろうに。
『落ち着きました。もう結構です。ありがとうございました。』
私が呟いたのは、泣いていると自覚してから十分以上経ってからだった。
その十分程を、自分のために静かに待ってくれていた面々を見て、申し訳なく思う。
でもその十分は、長らく使っていなかった。それこそあの時部屋で泣いた時以来。
涙腺に溜まっていた水を枯らすには充分すぎる時間だった。
「良かったな。」
そう呟いて、松田は私から手を離す。
入れ違いに江戸川少年が大丈夫？と声をかけてくれた。
大丈夫だよ少年、大人の事情だから。
なんて見栄を張ってみても、君は問い詰めて突き止めるんだろうね。
また、しばらく沈黙が…とはならなかった。
萩原がパンっと手を鳴らしたのだ。
「さーて、それじゃあ長年の鬱憤を晴らそうの会を兼ねて、みんなで焼肉だぁー！！」
え、今から？
「え、今から行くの？」
心の中で呟いたことを、諸伏が代わりに代弁してくれていた。
外を見てみると、あたりは茜色に染まっている。
まぁ、夜ご飯には丁度良い時間だが…。
それにしても唐突すぎる展開に、動揺が隠せない。
だが、松田は慌てることもなくいそいそと萩原と一緒にポアロを出て行った。
知らされていたのか。そんなことを思いながら、ぼーっとしていると、
「ほら、北海さんも。」
動揺していた諸伏がニコニコの笑顔で私の手を引く。
さっきの言葉は演技か、それとも適応力が高いだけか？
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つむやぎ(プロフ) - 明里香さん» 誤字脱字、ご指摘いただきありがとうございます…！修正させていただきますね。 (12月5日 16時) (
レス) id: 0e2e7bdab8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 24話、言われたことがるじゃなくて、言われたことがあるです。 (12月5日 10時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 17話、ミステリー付きじゃなくて、ミステリー好きです。 (12月5日 10時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 4話、私を読んだじゃなくて、私を呼んだです。 (12月5日 9時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 3話、犯行動悸じゃなくて、犯行動機です。 (12月5日 9時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：I luck | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/topaazu/
作成日時：2023年1月28日 8時
