ヒーローの裁判【名探偵コナン】

罪状２９ ページ30

はぁ、と今日何度目かわからないため息をつく。

すると、そんな私を見てか、声を発したのはゴリラだった。




「すまなかった。あの時は。」




ただそれだけ。

ただ、その二言には重みがあった。


その言葉を発端に、それぞれが言葉を口にする。




「ごめんね、あの時守れなくって。」




守ってもらっても、あの時は意味をなさなかったはずだ。




「君が退学した後、犯人が名乗りあげたんだ、みんな申し訳なさそうにしてた。みんな北海さんに謝りたかったんだ。オレも。ごめんな。」




知ってる。だから私は冤罪を減らすために。無実の人を守るために。この仕事に就いた。




「すまなかった。言いたいことはいっぱいあるが、許してくれ。今はそれだけだ。」




今はってことは、これから質問攻めにされるってことすか。

それぞれの言葉に、心の中で反論する。


謝んなくてもいいんだと。あれは彼らがどうこう言う問題じゃなかったのだ。

彼らが罪悪感を抱く必要はない。




「すまなかった。だから、泣き止めよ。」




松田が、最後に言う。

その言葉で気づいた。




自分が泣いていたことに。

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