なぁ、今度は俺のためにくれよ

２９巻 ページ30

龍鵝side

柱に寄りかかりこちらを見る灰狼。

彼の顔は少しやつれているように見えた。



灰狼｢ここに葵を連れてきて、無理矢理思い出させる。それしかねぇんだろ｣


龍鵝｢……今葵様についているのは白虎ですか｣


灰狼｢……白虎なら死んだ｣


龍鵝｢え？｣


リクオ｢し、死んだって……！？｣



白虎が死んだ？

一体どういうことなんだ！？



灰狼｢葵は妖怪の生き肝を求め、京の町へ出歩くようになった。それの最初の犠牲者が白虎だ｣


龍鵝｢葵様が！？｣


灰狼｢今ならまだ間に合う。葵の記憶さえ戻りゃ京妖怪が犠牲になることなんてない！協力してくれるよな、元の葵に戻すために｣



葵様が生き肝を求めて京の町へ……。これは羽衣狐様が考えていたことではないか……。


灰狼｢葵を何とかこの関東に近づける。記憶を戻すのはあんたらにしか頼めねぇんだよ｣


ぬら｢分かった。その代わり｣


灰狼｢あぁ、報酬に酒瓶100本贈る！｣←


龍鵝｢え？｣


ぬら｢120本な！｣←


龍鵝｢えええええ！？｣

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