本物の怪物【殺戮の天使】 (ページ38)

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episode37 ページ38

俺達は少しの間黙っていると、ザックが注射器を手に取り、動き出す。

俺はそれを目で追いかける。

ザックは鉄格子の前まで行き、レイ達の方を見ている。

レイの方も注射器を持って鉄格子の前に来ていた。

ザック「どっちがヤバいやつかわかるか？」

レイ「……ううん」

ザック「……だろーな。俺もわかんねぇよ。どーする

俺はこんなところで死ぬ気はねぇ。あの女に殺されるなんざごめんだ」

エディ「でも、結局僕らの中で一人か二人が打たないといけないんでしょ？」

レイ「……じゃあ、私が両方打とうか？」

エディ「えぇっ！？そんなのだめだよ！！」

ザック「テメエ、それで平気でいられんのかよ！？」

レイ「……さあ。それとも、ザックが打ってみる？」

ザック「あぁ！？嫌に決まってんだろーが！」

ルシ「……決まらないなら、俺が両方打つ」

俺が三人に近づき、ザックとレイが持っている注射器を交互に見る。

ルシ「どうせ、どちらが薬かわからない。それなら、俺一人に症状が出ることを最初からわかってる方がいいだろう」

レイ「……でも、お兄ちゃんは……」

ルシ「俺の目的はお前らの約束が果たせるよう手伝うこと。そして、俺はここで“道具”として終わる気はない」

俺のその言葉にザックが反応した。

俺はレイから注射器を受け取るべく、手を伸ばす。レイはその手に注射器を置こうとしたその時、隣にいたザックに注射器が奪われた。

ルシ「ザック…？」

エディ「ちょっ、何してるの！？」

ザック「今は、あの女の思うがままになってやる気はねぇ。ここから出んのが先だ。

だから、お前らのいいように使われてやるよ」

レイ「……え？」

ルシ「ザック、待て！！」

俺が言い終わらない内に、ザックは二本の注射器を自身の腕に打った。

打ち終わったと同時に扉の鍵が開く音がした。