#１４ ページ15
俺の打った弾がAに当たればきっと死ぬだろう。そんなふうに考えたのに手元は全く狂わなかった。何処か確信めいたものを感じていたのだ。あいつなら避けられる、と。勿論、避けられない可能性だってあった。もしそうならばAはそれまでの奴だった、それだけだ。
随分と割り切っていた筈なのに、Aがちゃんと避けられて、冷静になって、手が震えた。
「ありがとうございます！」
素直に礼を言う彼と反対に、上手く口の動かない俺は
「殺してたかも、しれなかった」
そう、嗚咽のように吐き出した。
避けられると考えたのも、避けられなかったらそれまでだとしたのも、勝手な俺の評価。
「でも、助けられたのは事実っすよ」
そりゃ流石にビビりましたけどね、と困り眉で笑顔を見せるのは強がりなんかじゃない。分かっていても、右手は未だに震えている。
「…お前が外れてるうちに、全部終わったから、戻ろう」
これはすぐには収まらないと判断して踵を返す。今来た道を戻って、軍本部まで戻れば、その頃にはもう収まっているはずだ。
あぁ、そういえば、Aがずっと一人で戦っていたのに俺は何も労わなかった。そればかりか情けない姿まで見せてしまった。
「…ごめんな」
木の幹に付けた傷を頼りに戻る道の中、Aを振り返りもせずに零すと
「ショッピさんと一緒に戦えなかったのは残念っす」
いつも通りの声で返ってきたから、思わず彼の顔を見てしまった。びっくりして目を見開く彼に馬鹿かよ、と悪態つけば
「愚直が長所なんすよね」
と歯を見せて笑った。
全然かっこよくなんてなれなかった。寧ろ救われた。事故で落ちた彼の存在が陽動役として戦争でも役に立っていた。
今ここで彼を労えば、俺の気も抜けてしまう。
「急いで帰ろう」
木の幹の傷をなぞる。その手はもう震えていない。
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律 - あ"あ"ァ"ぁ"ァ"あ"ぁ"ァ"ァ"ァ"！なんて素晴らしい作品なんだ...メチャクチャドストライクゥ！！メッッッチャ面白いっす。まじ惚れました←更新お疲れ様です！！ (2019年7月12日 23時) (
レス) id: eb18b63c38 (このIDを非表示/違反報告)
暁月楓 - 更新ありがとうございます！これからも頑張って下さい！ (2019年3月30日 12時) (レス) id: 1cdd0676ea (このIDを非表示/違反報告)
暁月楓 - のんびり待ってます〜！(*´∀｀) (2019年3月25日 15時) (レス) id: 1cdd0676ea (このIDを非表示/違反報告)
赤穂寿(プロフ) - 暁月楓さん» ありがとうございます！停滞中ですが気長に待って頂ければ幸いです (2019年3月23日 21時) (レス) id: b35249aa82 (このIDを非表示/違反報告)
暁月楓 - すごく面白かったです！続き待ってますね！ (2019年3月19日 17時) (レス) id: 1cdd0676ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nanaoto | 作成日時：2019年2月26日 21時
