片割れの苦悩 (ページ8)

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夢の終わりページ8

あれから傑は、もう現実の話はしなくなった。

その代わり、どことなく傑とぎこちなくなってしまった。

ある日、傑と別々で帰っていた。

すると、前にいた傑が通り魔に襲われそうになっていた。

現実では、私も傑も鍛えているから難なく対処できたけどこの世界では体術や術式は消してしまった。

だからこのままだと傑は死んでしまう。

そう思うと体がとっさに動いて、傑の前に出た。

気がつけば私のお腹は血だらけで、燃えるように熱かった。

動揺する傑と、薄れゆく意識の中で男の人の声が聞こえた。

それは紛れもない、傑の声だった。

傑「A、目を覚ますときだよ。悟も硝子もAが目を覚ますのをずっと待っているんだ。」

『だけど、私は傑のいない世界ではもう生きていたくない！そんな世界で生きるくらいなら死んだ方がマシだ！』

傑「そんなこと言わないでくれ。Aはずっと昔から私にばかり気を使って生きていただろう？だからこれからはもう、Aには自由に生きて欲しいんだ。」

『じ…………ゆう……………？』

なぜか今は、自由という言葉が心に刺さった。

傑「だからお願いだA、約束してくれ。」

『約束……………？』

傑「もうすぐ、Aは目が覚める。だから私の呪力と術式をあげる。だから私の分まで生きてくれ。」

『えっ…………！』

そういって傑は私にキスをした。

傑「じゃあねA。幸せに長生きしてね。」

その瞬間だんだんと遠ざかっていく傑。

『待って…………！待ってよ傑！！傑！！』

あなたがいない世界では、私は完全に幸せになることは出来ないのに……………

暗くなった視界。

目を開けたら、ぼやけた視界と共に白い天井が写った。

完全に視界が戻ると、横には悟がいた。

『………さ、悟………？』

悟「っ！A！！…………良かったッ…………！もう起きないかと思った…………！」

そういった悟は泣いていた。

傑の言っていたことは間違ってなかったのか………

『ここはどこ…………？』

悟「ここは高専の保健室だよ。」

『そう…………ごめんね。迷惑かけて…………』

悟「迷惑だとは思ってねぇよ。だけど、本当に心配したんだからな！二度とこんなことすんじゃねぇよ？」

『分かったよ。傑にも長生きしろって言われたしね。これからもよろしく頼むよ、悟』

悟「あぁ！」