第2話 ページ3
⚪主人公side
カランカランと少し古びたベルが出す聞き慣れた音を聞きながら扉をグッと開ける。やはり何年も経ってるからいくら綺麗にしていても少し小さな傷なんかが入った扉を人差し指の腹でさらりと撫でて店内は踏み入れた。
暑い外から切断されたかのように涼しい店内が太陽に晒されて熱を帯びた肌をひんやりと少しずつ冷やして行く。いつも座るトイレに一番近い、奥のボックス席に腰を下ろせば背負ってきたリュックに入れてきたノートパソコンをおもむろに置いて角に寄せる。まずはご飯を食べて、依頼者へデータを送るのは後にしようと決めてからはメニューを取ってぼんやりと眺める。
いつも奥の席に座るのは自分の後ろに誰かがいる、なんてことがないためだ。だから周りにパソコンを覗き込まれるというリスクもなく落ち着いて仕事ができたりする。それにポアロはマスターがよくしてくれるから長居もしやすい。恋人できたか、なんて言葉をかけられるのには少し困ったものだが。
「すいません、」
メニューを眺めていたため俯いていた顔を上げ店員さんを呼ぶ、はいと柔らかい声が聞こえてきて出てきたのは褐色な肌とサラサラの少し色素の薄い金髪に蒼眼が特徴的なイケメンさん、安室さんだ。
食べたかったナポリタンを注文すると安室さんは相変わらずの甘いマスクを少し歪ませて綺麗な笑顔を浮かべながらわかりましたと了承し奥に引っ込んで行く。彼は女子高生に人気が高く、バイトとして入った日から学校終わりの時間になると女子高生がこぞってくるようになったらしい。らしい、というのは俺も一時はその時間帯にいたが生憎容姿には恵まれているため女の子に絡まれるのだ。仕事をしてもいられないし時間をずらすように心がけてはいるが安室さんはバイトで入っているんだし避けようもないだろう、入った理由が上の階に住んでいる毛利小五郎の弟子になるため、なんだから純粋にすごい。
真っ黒な一度も染めたことのない自分の髪を弄りながらそんなことを思っていると今日は空いているからかすぐに注文していたナポリタンが来た。美味しそうな匂いが漂っていていただきます、とこぼすとすぐに食べにかかる。相変わらず美味しくて頬を緩めながら食べていると前の席に安室さんが座っていうのだ。
「Aさん、お話ししませんか?」
ごはんをたべながらこの時間帯暇な安室さんと会話をする、これもよくあること、だったりする。
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作者名:小鳥遊 | 作成日時:2018年7月14日 9時