◇*.18 ページ18
.
洸太｢ニノさーん！｣
厨房の方から洸太の声がして
はっとする。
そうだ、こんなとこ洸太に見られたら絶対ややこしいことになる。
和｢…お呼びだ(笑)ちょっと行ってくるからこれ、使いな｣
｢…え｣
涙を慌てて拭う私の前に
差し出されたお絞り。
それを受け取るとすぐにその背中は見えなくなって
お礼も言えないまま、
ただ手の中にある温かさに
胸が高鳴った。
.
和｢飲む？これ(笑)｣
｢わ、可愛い…！｣
暫くして戻ってきた二宮くんの手にあったのは
大きなリーフのラテアートが施されたコーヒー。
和｢作ったのアイツ(笑)｣
その言葉に、カップを受け取ろうとしていた手が止まる。
｢…えっ？洸太？｣
和｢そ、アイツこーいうの興味あるんだと｣
｢…こういうのって、｣
和｢バリスタとか？｣
｢…うそ｣
そんなの聞いたことないって言いかけた言葉が
喉の奥に突っかえる。
洸太の興味あることが何か聞かれて
ゲームとか電車とか
いくつの時の話だよって言われてしまいそうな答えしか出来ない私に
そんなセリフ、言う資格がない気がした。
聞こうとしてなかったんだから、聞いたことなくて当然だ。
和｢…中瀬？｣
｢あ、ごめん…ちょっとビックリしちゃって｣
和｢…｣
二宮くんから受け取ったコーヒーをじっくり見てみると
木の葉の細かい脈まで丁寧に描かれていて
これがあの不器用だった洸太が作ったなんて
そう聞かされていても、中々信じられなかった。
和｢2ヶ月くらい前かな、高校生が何人か学校帰りにうちの店来てさ…その時俺がカフェオレに描いた絵を見て洸太がいきなり…｣
和｢“弟子にしてください”って(笑)｣
｢…弟子！？｣
和｢もちろん最初は断ったけど(笑)｣
それでも懲りずにその日から毎日来るようになって、さすがの二宮くんも断れなくなったって
眉を下げて、困ったように笑った。
和｢不器用だけどまぁ根性はあるし、それに2ヶ月でそこまでって…結構いい腕してるだろ(笑)｣
｢…｣
手元にもう一度視線を落として
洸太が描いたというその絵をしっかり目に焼きつける。
そしてゆっくりと
カップに口をつけた。
｢…、！…にが…っ｣
和｢え、｣
その瞬間、
取っ手を持っていた手が急に引き寄せられて気付いたら
私の手からそのままコーヒーを飲む二宮くんの顔が
目の前にあった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 348人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和(プロフ) - (名前りんさん» りんｻﾝ、コメントありがとうございます！(*´ω`*)うわぁ、前作から…嬉しいです。有難いです。(´；ω；`)こちらも、前作に負けないくらい切なくするつもりなので(笑)、引き続き楽しんで頂けると嬉しいです！更新頑張ります(^^) (2020年4月24日 19時) (
レス) id: 1efda7f877 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - ひろこさん» ひろこさん、コメントありがとうございます(^^)わーい、めちゃくちゃ嬉しいです！甘酸っぱい青春…私も大好物です(笑)そんな青春を思い出して貰えるようなお話にしたいと思うので、また是非よろしくお願いします(*´ω`*人) (2020年4月24日 19時) (レス) id: 1efda7f877 (このIDを非表示/違反報告)
(名前りん(プロフ) - 新作も前作に引き続き大好きです！更新楽しみにしてます！ (2020年3月31日 17時) (レス) id: c02e8af171 (このIDを非表示/違反報告)
ひろこ(プロフ) - この甘酸っぱい感じ。大好物です！和さんの作品、大好き！ (2020年3月28日 8時) (レス) id: 7819f221c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
