ろくにんめ兼はちにんめ【男主】

フリスビー ページ21

久々に色んな意味で衝撃が走ったのはUMP東京公演が終了し氷風呂に向かう最中でのAの一言だった




｢俺もファンの人になりたいです。だって直人さんのサインフリスビー当たるかもしれないですもんね｣



俺より幾分大きいAは俺を見つめてそう言うも“でも俺はファンの人はあんまり会えない実物にこんな近くで会えてるんですしあんま贅沢言えないですよね”と笑い,流そうとしていた



直｢何俺の欲しいの？｣



切実そうなAの願いが不覚にも俺の萌えを突いて少し口角が上がるのを感じながら肩を組みそう聞き返した



｢めっちゃ欲しいですよ本当は…だって俺の方が…,絶対直人さんのファン歴長いのに…｣



直｢…、へ、そ、だよな｣


Aからの分かり易すぎる程の好意を目の当たりにして不覚にも照れてしまう
今まで沢山のファンに隠れていて忘れていたけどAはオーディションの頃からずっと憧れていてくれた奴だった



直｢…あ、ちょっと忘れ物。待ってて｣




｢えっ？はい…｣



あんな可愛い末っ子のオネダリに答えないわけにはいかないじゃん？俺もちょっと久々にワガママ言ってみようかな







･





岩｢あ。Aまだ氷風呂行ってないの？｣



｢剛典、…直人さん忘れ物したから待っててって言われて今待ち中｣


恐らく弁当を取りに廊下に出たであろう岩田が日野を見つけ駆け寄り,未だライブツアーのTシャツを着ている事に気付くと首を傾げた



岩｢え？直人さんならさっき…あ、そういう事？｣




岩田は先程楽屋で作業をしていた片岡を見ていた為何となく“忘れ物”の意が分かってしまった



岩｢直人さん…本当Aにだけ甘いよね。俺には厳しいのに｣



｢それ何？直人さんなんかしてたの？｣



未だ岩田の言葉の意味がわからず聞き返そうとすると丁度片岡の呼び声が重なる




直｢Aっ｣



｢はいっ、え、？｣



片岡の手には何時も見ている赤いフリスビー
その表面にはしっかりと片岡のサインが描かれていた



直｢いつも俺をそばで見てくれてるワガママで可愛くて最高に最強な末っ子に届いて下さい、｣



岩｢…笑 直人さん本当激甘、｣




片岡が優しく投げたフリスビーは日野の手の中に収まった
片岡の優しさに片岡とフリスビーを交互に見渡し嬉しそうに片岡に飛び乗った




｢直人さんっ！ありがとうございます！俺一生の宝物にします！｣



直｢そうじゃなきゃ困るっての｣



片岡も日野の嬉しそうな顔に顔を緩めた

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