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辻さんの背中を完全に見送って、二人になって。
本当はもっと、余裕のあるところを見せたかったのに、
どうしても気になったことを聞いてしまった。
「…辻さんと、付き合うてんの？」
Aは、なんて答えるべきか少し迷って、
『付き合っては、ないです。』
なんて、含みのある言い方をした。
付き合ってはないけど、そういう関係ではあるってこと？
それは納得の上でなのか？そこに気持ちはあるのか？なんて、
自分のしてきたことは棚に上げて、そんな考えがぐるぐる頭を巡る。
幸せならば、と一度飲み込もうとした気持ちを、
また吐き出していいだろうか。
「そっ、か、よかった。」
『…よかった、んですかね、』
「うん、俺にとっては、よかった。」
Aは少し驚いた顔をした。
「あの…さ、」
どこから、なにを、どう伝えるべきか。
俺は口下手な方ではない、言語化するのが得意やと思っていたのに。
彼女の前でその力はうまく発揮されず、何か思いついては虚へと消えていった。
そんな風に時間を浪費していると、先にAが口を開いた。
『…元気に、してましたか？』
その瞬間、お互いに泳いでいた目が合った。
「…元気なわけ、ないよ」
俺の返答がきっと、思っていたものと違ったんだろう。
えっ？、と、困惑した声だった。
そういえば、今まで素直な気持ちを伝えたことなんて、
なかったことを思い出した。
いいのだろうか、もう、素直になっても。
歳上だし、先輩だし、男だし。
嫌われたくなくて、いつも飄々と、余裕のある男を演じていた。
今思えば、そんな風に背伸びをしていたから、つまずいてしまったのかもしれない。
ならば、と思い、今まで言えなかった素直な気持ちをぶつけてみることにした、
というより、蓋が外れて、溢れてしまったという方が正しいかもしれない。
「元気なわけないよ。いつの間にか東京から、
俺の目の前からおらんくなって。
ずっと、ずっとずっと会いたかった。」
そう言って、持っていたものを全部手放して、Aを抱きしめた。
『…かざと…、』
Aは泣いていた。
その涙はどんな意味があるのだろうか。
同じ気持ちから来るものなのか、それとも。
こんな朝早く、誰に見られるかもわからないのに、
そんなことは些事でしかなくて。
これからの俺たちに、未来があるのかどうか、
それだけが気がかりだった。
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yucari(プロフ) - ただのファンさん» ありがとうございます！また今日から更新がんばります☺️🔥 (4月27日 9時) (
レス) @page14 id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
ただのファン - 更新待ってますね💬 (4月24日 2時) (レス) id: 6498e20fe5 (このIDを非表示/違反報告)
yucari(プロフ) - つぁんさん» 感想めっちゃうれしいです！ありがとうございます！☺️🔥 (3月23日 22時) (レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
つぁん(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます🥰反撃編楽しみにしてます❤️🔥 (3月22日 12時) (レス) id: 8778fcf56d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yucari | 作成日時：2024年3月22日 5時
