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こんな風にひどく蒸し暑い日 ページ4

x kygk








『うわー今日32度もあるの、べしゃれるの?』


いやそんなんでべしゃれるかい、と悪態をつきながら
相方のなかむらはロケバスの中でインスタライブをしていた。


俺はそんな様子を眺めながら、後ろからボソボソと突っ込んでいたが
突然のバッドニュースに入っていたはずの気合いが散っていくのがわかった。



今日は外でハチミツのロケの予定があって、今は待機の段階。
昼に近づくにつれてより一層暑くなると言うのに、まだ撮影は始まらない。





「すまん、暇やし、いつになるかもわからへんから、ちょっと寝るわ」
マネージャーにそう告げて、目を閉じる。

そして羊を数える代わりに、なかむらのボケに耳を傾けた。





『あん?好きな映画はなんですかだあ?
見たとて自分の人生は、あのー変わらないですけどねっ』

なんでちょっと嫌なこと言うねん


『32度は体温と同じくらいですか?いいえ視力と同じくらいですっ』

どう言うことやねん


『日曜のっ昼下りっなんだかちょっとありがたくてっ』

いつもありがたがるのなんなん


『夏の思い出〜手を繋いで〜歩いた海岸線っ
そんな思い出はありませんけどきっとアナタにもないと思いますっ』

決めつけんなよ






眠ろうとしても眠れなかった。
さっきから気になる発言すぎて。


結局またツッコミ始めてしまったが、
声に出すのは億劫で、心の中に留めた。

プロとしてどうかと思うが、もうこの暑さで、
このあとずっと外で焼かれながらロケをするところを考えると、
自分の体力を温存することのほうが優先された。








(はあ、少しでも涼しい午前中に始まればな。)


なんの関係で始まらずに押しているのか。
今これは何待ちの状態なのか?


気になって外の様子を見ようと少し開けたカーテンから入ってきた日光が、
ジリジリと俺を刺したのをきっかけに。



あの夏、遠い記憶にある、猛暑の日をふと思い出してしまったのだった。

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作者名:yucari | 作成日時:2024年3月15日 2時

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