検索窓
今日:33 hit、昨日:33 hit、合計:6,788 hit

. ページ3

.




今行きまーす!と言って彼女は出ていってしまった。
取り残されて唖然としていると、そのやりとりをみていたケムリさんが耐えきれず笑い出した。


『もう、お前勝てないわ。一生Aに振り回される未来が見えるわ』
「いやいやいや、えっ?何?YESって何?どう言うこと?」
『ダメだ、もうハマっちゃってるわ、沼に』
「えっ?俺のこと好きなの?」
『知らねーよ、本人に聞けよ』
「代わりに聞いてよ!」
『やだよ』




そんな風にいじられていると扉がバン!と勢いよく開いた。


『おい!くるま!袖で私の活躍指咥えて見とかんかい!』
「びっ……くりした!う、羨ましくねーよ?」
『袖から見る私もめっちゃ美人やねんで?勿体無いやろがい!』
「ええっ、ごめんなさい???」
『ほら!遅れんで!!!』


なぜ怒られているのかわからないまま、手を引かれて舞台まで全力疾走した。







すでに出囃子は鳴っているし、スタッフさんたちは不安そうな顔をしていた。
俺と、スタッフさんと、お客さんと、いつもみんなこの子に振り回されている。
だけどなんだか許されてしまう。それは彼女の天性の魅力?、魔性のせいなのか。






『…ふふ、ちゃんと見といてな、直樹』
「えっ、なっ何っ」



それだけ言うと、手をパッと離した。

そして俺が選んだグリーンのジャケットをひるがえして颯爽と舞台へと出ていった。


俺は早くなった心臓の鼓動を、全力疾走のせいにした。
そしてその、なんの答えも出ない混乱のまま、宙ぶらりんのまま、
結局また彼女の一挙一動に目を奪われてしまっていた。

ああ、やっぱりどこから見ても。











君は全方向美少女。
(君の魅力は、困ってしまうほどに)

こんな風にひどく蒸し暑い日→←君はどこから見ても、



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
90人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:yucari | 作成日時:2024年3月15日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。