君はどこから見ても、 ページ2
krm×同期
彼女の魅力は、一言では語れない。
『なあ、くるまよ。グリーンとオレンジ、どっちが似合うと思う?』
「なんで毎回俺に聞くの。絶対もっと適任いるわ」
『美少女に聞かれたことはすぐ答えんと』
「もー…今日の感じだったら緑、かなあ」
『おっけ、ほんならそれで行くわ!』
アイラインを跳ね上げて、天まで届きそうなまつげをして、
俺が選んだ緑の派手なジャケットを羽織った彼女は、
見ないようにするのが大変なくらい主張が激しくて、嫌でも目に入ってくる。
素材のいい顔をした彼女にいつしか聞いたことがある。
そんなに濃くなくても可愛いんじゃない?と。
顔に似合わず内面がオトコマエな彼女は、俺のそんな無粋な質問を笑い飛ばして、
『なーんもわかってへんな、男子校へ行った弊害がでとるわ。』
「いやそれはもうほんとぐうの音も出ませんけれども」
『美しさも愛嬌もあるけど、それじゃ戦闘力が足らへんやろ?』
「どこからつっこんだらいいの」
『メイクは戦闘のための装いや!』
そんなことを言っていたっけ。
そんな前のことをぼーっと思い返して、
今日もすごいメイクだけど、悔しいけど似合っていて、
可愛いな、と思い鏡越しに見つめてしまう。
するとAさーん!と大きな声でスタッフさんが遠くで呼んでいるのが聞こえた。
「ねえ、めっちゃ呼ばれてるけど、出番近いんじゃない?」
『今出番誰?』
「ナイチンさん出てるけど、」
『あー、ほんなら次やな』
「えっじゃあ早く行かないと!何してんの!」
『ええねん、ヒーローは、遅れて登場すんねん』
「いや、ヒロインだろ」
とツッコんだところで、あれ、変なツッコみだったなと自分で放った言葉に首を傾げる。
『へえ、じゃあ私のヒーローは誰やろな?』
ニヤリ、と俺を見て笑うその顔に釘付けになる。
「…くそ可愛いな」
『お?やけに素直やん』
「え、口に出てた?」
『出てたで。可愛くて可愛くてたまりません、大好きですってな』
「何言ってんの、そこまで言ってないわ」
『じゃあ返事はいらんな?YESやったのに残念やな〜』
「………えっ?」
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作者名:yucari | 作成日時:2024年3月15日 2時