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「な、んでもないよ」
私は咄嗟に高比良さんの手を振り払っていた。
視界の端で傷ついたような顔をしているのが見えたが
何よりも京極さんに嫌われたくないという気持ちが勝った。
『…なんでも、ないです。』
何かを諦めたように高比良さんが口を開いた。
『ふうん、なんでもない、ね。
...お前らがそういうなら、そうなんやろな。』
声色とは裏腹に彼は笑っていた。
その笑顔がどういう意味を持つのかなんて
私にも、きっと高比良さんにもわからなかった。
愚かにも、嫉妬してくれているんじゃないか、
なんてことが頭をよぎった。
もしそうなら、いや、そんなこと考えてはいけない。
期待してしまえば、そうでなかった時に余計落胆する。
もしお互いの感情を露わにし合うというならば、
それ相応の覚悟ができた時でなければ。
全てを失うことになりかねないから。
まだ私には、そんな覚悟などないから。
「あ、ヤスさんも到着されましたね」
『ほんっとに待たせてごめん！！よし、飲も…ん？
なんかあった？』
察しの良いヤスさんは空気の悪さを感じ取りながらも、
明るく何事もなかったかのようにしてくれた。
「いえ、飲みましょう！店員さん呼びますね！」
『京極もビールでいいよな？すいませんビール二つと…』
まだ少し不機嫌な顔をした彼は、テーブルの下、
誰にも見えないところで、手を重ねてきた。
なんて我儘な人。
自分は私のものにならないのに
私は自分のものだと思っているの？
でもそんな手を振り払うことはできなかった。
冷たいビールと、あなたに繋がれた手の熱さが
私の何かを麻痺させていくのがわかった。
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yucari(プロフ) - くまもんたさん» ありがとうございます！嬉しいです、励みになります！コメントありがとうございます！ (3月14日 23時) (
レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
yucari(プロフ) - ぼた餅さん» すみません何分不慣れなもので、よくわかっておらず、ご指摘助かりました！ありがとうございます！ (3月14日 23時) (レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
くまもんた(プロフ) - めちゃめちゃ好きなお話すぎます…！更新頑張って下さい！！ (3月14日 23時) (レス) id: 6a9f7cbdd2 (このIDを非表示/違反報告)
ぼた餅(プロフ) - オ.リ.ジ.ナ.ル.フ.ラ.グを外して下さい。違反になってしまいます。 (3月14日 10時) (レス) id: b56975c361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yucari | 作成日時：2024年3月13日 22時
