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でもやっぱり、時間は待ってくれない。
世界は私達を放っておいてはくれない。
「…でもそろそろ、時間ですね。
京極さんも遅刻しちゃいますよ、」
『あーあ、もう敬語に戻っちゃった。』
少し残念そうな顔をする彼をみて
やっぱり、期待してしまう。
もしかしたら、と。
その期待が、私の心を柔らかくして、
つい、聞いてしまったのだ。
思いがけず、踏み込んでいってしまった。
知らんぷりをすることだって、出来たはずなのに。
今までみたいに固く閉ざして、なかったことにして。
「でも、」
『んー、何？』
「…どうして、家に…？」
私の髪に指を絡めてくるくると遊んでいた彼の動きが止まった。
少し、真面目な顔になる。
『…くるまと、付き合うん？』
「えっ、そんな、昨日はただ飲んできただけで、」
『じゃあ、手握らせてたんは何？』
「握らせてた、って…。告白は、確かに、されたんですけど」
彼の心のうちが知りたくて、言ってしまった。
くるまさんの気持ちを餌にして、最低だけど。
『告白されて、そのあと二人で抜けて飲み直して？
めちゃくちゃ脈あるやつの行動やな。』
彼の言葉にはすごく棘があった。
「…よく、私を責められますね、」
さっきまでの幸せな空間は無くなってしまった。
彼女を手放せないのに、私を縛る彼と、
無性に愛していると言いながら、他の男にも尻尾を振る私。
ちぐはぐで、噛み合わない。
お互いがお互いを求めているのは、確かなのに。
きっと彼の中にぽっかりと空いた穴は、私の形じゃないし、
私の中にぽっかりと空いた穴も、彼の形をしていないのかもしれない。
埋め合うことのできない、形。
一昨日まで、苦しいながらも、「日常」となった光景を過ごしていた。
もがきながらも、こんなに早く日常が変わりそうになってしまうなんて、思っていなかった。
つくづく、人生って何が起こるかわからなくて、
腹が立つ。
そうだ、私は、腹を立てているんだ。
「じゃあ、彼女と別れてくれますか。
私だけを愛してくれるって、約束してくれますか？
してくれませんよね、わかってます。
わかってるから、ずっと、何も言えずに、それなのにっ…！！」
涙は枯れることないのかな、あんなに泣いたのに、
泣かされたのに、まだ涙が出るし、きっとこれから
彼が私に優しくしてもまた泣くし、冷たくしても泣く。
『…ごめん。』
苦虫を噛み潰したような顔で、彼が放ったのは、
真意のわからない、謝罪だった。
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yucari(プロフ) - くまもんたさん» ありがとうございます！嬉しいです、励みになります！コメントありがとうございます！ (3月14日 23時) (
レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
yucari(プロフ) - ぼた餅さん» すみません何分不慣れなもので、よくわかっておらず、ご指摘助かりました！ありがとうございます！ (3月14日 23時) (レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
くまもんた(プロフ) - めちゃめちゃ好きなお話すぎます…！更新頑張って下さい！！ (3月14日 23時) (レス) id: 6a9f7cbdd2 (このIDを非表示/違反報告)
ぼた餅(プロフ) - オ.リ.ジ.ナ.ル.フ.ラ.グを外して下さい。違反になってしまいます。 (3月14日 10時) (レス) id: b56975c361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yucari | 作成日時：2024年3月13日 22時
