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「え、なんで、」
『…とりあえず、暖かいところ入れてや』
ほんとに、いつから待ってたのだろうか。
寒そうに手を擦り合わせる彼が、なんだかいつもより小さく見えた。
鍵をあけて、扉を開ける。
「ちょっと散らかってますけど、どうぞ」
『…そんなん、ええけどさ、』
扉が閉まるのが早いか、
彼の腕の中に入るのが早かったか。
「…京極さん、どうしたんですか、？」
『…どうしたんですか、ちゃうやろ。』
「だって、いつもとなんか、違うから…」
『違うのはAやろ、なんやねん、』
こんなに切羽詰まった彼を見るのは初めてで、
動揺してしまう。
いつも冷静で、飄々としていて、掴みどころのない人だった。
『誰とどこにおったん？
…くるまとおったん？…手、繋いどったもんな』
その問いにびくっとする。
『なに、図星？付き合うてんの？』
「いや、ちが、ちがいます、ちょっと飲んできただけで」
『へえ、俺以外の男と二人で飲むんや』
彼の手がするすると服の中に入ってくる。
「ちょ、っと待って」
『これ以上は待てへんよ、』
彼に手を引かれて、ベッドへと連れて行かれる。
乱暴にベッドへと押し倒されて、ついに真っ直ぐ彼の瞳と向き合った。
向き合ったけれど、やっぱり真意はわからなかった。
私の気持ちが邪魔するせいか、なんなのか、
私達はもしかしたら一生、わかりあえないのか。
彼と、私。
はぐれないように指を絡めるけど、
安らぐような気持ちにはなれなかった。
それはきっとお互い。
『Aは、あかんねん、誰にも、渡されへん。』
なに、それ。
心臓が止まるかと思った。
私のことなんて、なんとも思っていないんだと、そう思って傷ついてきたのに。
そんなのずるい。結局私は、彼を拒むことなんてできなくて。受け入れることしか、できないんだ。
「…、かざと、」
なんだか涙が出る。
『…優しくできんくて、ごめん。
早く俺を、安心させて』
そうして二人は体を重ねた。
いつもより彼は優しくないのに、
なんだか愛されている気がした。
私もいつもより素直に応えていく。
恥じらうことさえ忘れてた。
無理矢理剥ぎ取ってしまったのは、彼なんだ。
ああ、もしかしたら、忘れられるかもと思ったのに。
『…っ、A、』
「かざと、…すきなの、っ」
涙はずっと止まらなかった。
悲しいのか、嬉しいのかもわからない。
ただ、どうしようもなく愛している。
けれど、愛してるとまでは、言えなかった。
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yucari(プロフ) - くまもんたさん» ありがとうございます！嬉しいです、励みになります！コメントありがとうございます！ (3月14日 23時) (
レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
yucari(プロフ) - ぼた餅さん» すみません何分不慣れなもので、よくわかっておらず、ご指摘助かりました！ありがとうございます！ (3月14日 23時) (レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
くまもんた(プロフ) - めちゃめちゃ好きなお話すぎます…！更新頑張って下さい！！ (3月14日 23時) (レス) id: 6a9f7cbdd2 (このIDを非表示/違反報告)
ぼた餅(プロフ) - オ.リ.ジ.ナ.ル.フ.ラ.グを外して下さい。違反になってしまいます。 (3月14日 10時) (レス) id: b56975c361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yucari | 作成日時：2024年3月13日 22時
