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『おはようございまーす』
気だるそうに挨拶をして、彼が劇場に着いたのは
14時30分。
どこが早いんだか。
午前中も仕事はなかったとしゅんさんが言っていた。
同業者で、共通の知人も多いのに
なぜバレるような小さな嘘を吐くのか。
いっそ『彼女に怒られるので一旦家に帰ります』と書けばいい。
そんなモヤモヤした黒い感情で覆い尽くされそうになっていると
『先輩のこと無視したらあかんで、』
いたずらっ子の顔をして、頭をこつん、と小突かれる。
「いたっ。す、すいません、ぼーっとしてました…おはようございます。」
『…何考えて頭の中いっぱいになってるんやろうなあ』
くす、とまた少し笑って彼は楽屋へと入って行った。
(ずるい。そんな顔されたら、。)
一挙一動にいちいち反応する愚かな自分が
憎たらしい。
しかし周りには私の気持ち、
私たちの関係がバレてはいけないので
なけなしの演技力で取り繕う。
相方から送られてきた台本に目を戻す。
なんでもない。私とあの人はなんでもない、と
言い聞かせながら。
しかしそんな私の心のうちを知ってか知らずか、
彼からラインが届いた。
『今日夜あいてる？飲みに行こうや、
高比良とヤスに誘われてんねんけど』
嬉しいような、悲しいような。
なんとも言えない複雑な感情で返信を迷っていると
『Aがおったらみんな喜ぶし
絶対おいでな。店が決まったら送る。』
そう、結局私に選択肢なんてないのだ。
いつだって私は彼の言いなりで、
いいオモチャなのだ。
「はい、お店の情報待ってます。」
せめてもの抵抗、小さなプライドで
いつもラインはそっけなく送ってしまう。
(…今日も、するのかな)
今日は油断して可愛くない下着だな、
すぐそんなこと考えてしまっている自分にハッとした。
欲張りで、意思の弱い、馬鹿な私。
なにが小さなプライドだ、とおかしくなる。
彼に会ったから私はこんなふうになってしまったのか、
それとも元々そんな程度だったのか思い出せない。
彼と会う前の自分のことを、
最近では思い出せなくなっていた。
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yucari(プロフ) - くまもんたさん» ありがとうございます！嬉しいです、励みになります！コメントありがとうございます！ (3月14日 23時) (
レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
yucari(プロフ) - ぼた餅さん» すみません何分不慣れなもので、よくわかっておらず、ご指摘助かりました！ありがとうございます！ (3月14日 23時) (レス) id: 9764fa7a2b (このIDを非表示/違反報告)
くまもんた(プロフ) - めちゃめちゃ好きなお話すぎます…！更新頑張って下さい！！ (3月14日 23時) (レス) id: 6a9f7cbdd2 (このIDを非表示/違反報告)
ぼた餅(プロフ) - オ.リ.ジ.ナ.ル.フ.ラ.グを外して下さい。違反になってしまいます。 (3月14日 10時) (レス) id: b56975c361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yucari | 作成日時：2024年3月13日 22時
