私だけのカレ (ページ6)

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週明けの月曜日

社長をはじめ重役が勢揃いする
半期に一度の各部署への"視察"が行われる

何とも言えない重苦しいはりつめた空気が漂い

社内全体が緊張感に包まれている

『「おはよう」』

『「今日はよろしく頼んだよ！！」』

社長達が声が遠くから聞こえはじめた

"視察"がいよいよ始まった

普段めったとお目にかかれない
社長や、重役から
聞かれたり、見られたり、話しかけられる

内容も
世間話から、趣味、業務内容や実務レベルまで

それは、不特定多数で
役職付きだろうと、派遣社員だろうと、新入社員だろうと関係ない

このフロアーにいる全員が対称なのだ

日頃は席を外すことの多い部長も

今日は朝から課長やリーダーと

アレコレと打ち合わせをしたり

私達も普段しないような片付けを金曜日にした

りしてやっぱり今日は特別なんだと思わされる

今日はほぼ１日、、、こんな時間が続く

いつまで経ってもこの日だけは馴れない

お昼休みが終わってデスクに戻ると直ぐに

課長が『Aちゃん、これお願い！』

と言われたのはカレの名前が載っている書類

『Aちゃん、それ付箋のとこ・・・』

また途中までしか言わない課長に

《訂正印の上、書き直してもらいます》

そう言って、
マーケティング課に足を運ぼうと立ち上がると

『相変わらずだね』

『Aちゃん、
もうすっかり課長の秘書みたいだね』

うん、うんと頷きながら歩いて来るのは

わが社の社長さま

そして、半歩後ろから着いてきている女性は
長年社長秘書であり
この会社の最も古株の一人であるキム女史だ

《お疲れさまです》

私が2人に挨拶していると

課長が凄い勢いで駆け寄ってきて

2人はお互いに目を合わせて笑っていて

一気に場の雰囲気が柔らかく和やかになった

人事課の皆も社長とキム女史を囲むように

順に挨拶をし、

和気藹々とコミュニケーションを取り始め

部長や課長が間に入っていた

私は社長からAちゃん、そう呼ばれている

またキム女史からも

新入社員だった当時

慣れない立て続けの研修などの疲れや

緊張それに私の苦手な季節の変わり目と重なり

エレベーター内で酷い目眩のような症状を起こしてしまってそのまま倒れていた

後から乗り込んできた社長とキム女史に

助けてもらうこととなり心配を散々かけた

それ以降すっかり気にかけてもらっている