私だけのカレ (ページ40)

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｢一年は婚約期間｣

｢両家ともになんだかんだで俺に目が向くだろう。その間はとにかくお前の業績を積み上げろ｣

｢それと、、、もうわかってるとは思うけど…｣

兄の言葉は十分僕にも伝わってきた。

｢明日辞令を出すよ。自分で。｣

僕にはそれしか出来ないから

僕には何よりも大切な人だから

どんなに憎まれようとどれ程嫌われても良いから

そうやって、、、
それが当たり前のように応えていた。

忙殺されるかのように過ぎていく日々に
季節を感じることすらなくなり
気が付けばまた寒さが身に染みる時期を迎えていた

まるで
一年前のあの日がおとぎ話か何かのように思えて
寂しく悲しくて
何よりもあの人に会いたくて会いたくて

分厚い雲が垂れ込む鉛色をした空を
この誰もいなくなっただだっ広い無機質な会議室から見上げてため息をついていた