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初雪が降ったこの日
めがねくんは宣言通り
チームリーダーに昇進した
* 昇進おめでとう *
結局この日は一度も見かけることすらなくて
直接伝えられなかった
つい最近になって何とか交換するに至った
カレと私が繋がるそれを画面に出してきて
自分から初めてメッセージを送った
たったの一度だけ
カレから受け取った
ビビちゃんの動画
何度もいつでもどこでも見返しては
ビビちゃんのあの感触や
めがねくんの眼差し
あの日吹いていた生ぬるかった風の重さ
眩しいくらいに色めきだってた
グリーンやオレンジや真っ白なものを
未だに私はまだ覚えているその一つ一つを
宝物みたいにしているなんて・・・
恥ずかしくて言えやしないの
12月の半ばになって
今年もまた終わっていくことを
肌で感じてしまう
そして・・・もうすぐまた歳を重ねてしまう
郵便物を取りに行くために乗り込んでエレベーターの中で
はぁとため息を一つついていると
マーケティング課の課長が会議が終わったのか
途中の階から乗り込んできて
軽く会釈をして挨拶をした
「そろそろ最後の忘年会決まった？」
毎年恒例の大がつくような宴会化とする
社内の恒例行事のことが大好きな課長のその声は
既に上ずったように聞こえてきて
思わずクスリと笑ってしまっていた
全社を挙げて行われるこの忘年会は
あるホテルの宴会場を貸し切って行われる
かなり大掛かりなもので
私は今そのことで総務部と連携して
あれやこれやと計画中でてんてこ舞いの日々だ
とっくの前に社内の人間には
日時や場所などは通達がいっているけど
毎年毎年忘年会の中身は内部者以外は
トップシークレットとなっている
だから
《毎年のことですけど秘密です》
なんて課長に話すと
「やっぱりか」
なんて残念そうにして
メールボックスのある階に到着したことを
告げるエレベーターの音と共に
課長はエントランスに向かって歩いて行った
その背中を少し見送るようにして踵を返すと
「何が秘密なんです！？」
低い声を出して少し怒ったような
めがねくんが目に入ってきた
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作者名：くじら | 作成日時：2017年5月15日 18時
