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夏季休暇が終わった辺りから
いつも以上に仕事が忙しくなった
僕には約束したことがあるから
この現実的な状況も
いつも付き纏う僕の事情も
諦めているし、理解しているし、受け入れている
それを
変えたいとも、変えようとも思わない
今は・・・
でも変えていく・・・自分の手でね
会社と自宅を往復するだけの毎日で
Aヌナとも顔を合わせる機会もなくなっていた
話したい
会いたい
見ていたい
聞いていたい
いつもそう思ってる
だから
時々食堂や休憩ブースなんかで得られる
ヌナの笑顔や
ヌナの心地よいその声が
僕の何よりも楽しみで癒しだった
不意に
週の始まりから思い切り体調を崩してしまった
【自己管理のなさ】
わかってる
でも
甘えたかった
頼りたかった
来てほしかった
誰でもないAヌナに・・・
気がづけば、ミンソクヒョンに連絡をしていた
何の不自由もしたことがない
家族に守られて
友達にも囲まれて
先輩や後輩に恵まれて
ガールフレンドだって
あらゆるものを与えられていた
お金も、欲しいものも、何もかも
それに
容姿にも、頭にも苦労しなかった
僕は確かにとても恵まれている
だけど
いつも“自分”がわからなかった
一番わからなかった・・・
こうしたい
あれをしたい
これが欲しい
どうしても
そんな風に
自分のこと
自分の気持ち
自分の意志
そういうものを感じるのは初めてだった
2年目で本社に戻る
3年目までにマーケティング課のリーダー
4年目までに・・・
5年目では・・・・・・
初めて
僕は自分から手にしたいものを言葉にして
実行しはじめた
ヌナのことを戸惑わせるとわかっている
僕のことを普通じゃない
僕は一体何者だと
僕を理解できない
間違いなくそう思われる
そんなこと容易に想像がつく
それでも
僕はあなたじゃなきゃダメなんだと
そうまでもしても
あなたに来て欲しいと
わかって欲しくて・・・・・
誰も来たことがないここに来て欲しかった
あの日・・・
とってもあったかかったんだ
今まで触れたことのないぬくもりだった
家族や新しい命や揺るがない愛のような
とんでもない大きなものがあったから・・・
僕はもっともっと好きになった
どんどん好きになる
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作者名：くじら | 作成日時：2017年5月15日 18時
