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まだ微熱があったけど
次の日にはめがねくんは出勤してきていた
朝方カレの自宅で少しだけ顔を合わせて
私は始発に乗って自宅に戻ってまた出勤し
必死に欠伸を我慢しながら業務についていた
【カレのこともっと知りたい】
【踏み込んじゃいけないことはわかってる】
【ふとした瞬間に悲しさを纏うのはなぜ】
【ずっと笑っていられるようにしてあげたい】
すごく躊躇ったけど
やっぱり心配で
お昼休憩を見計らって
思い切ってカレの携帯に初めて連絡を入れて
「Aヌナ」
《めがねくん》
おうどんなら食べられると思って
社屋と反対側にある定食屋さんで待ち合わせをした
《具合どう？》
私がそう聞くと
「昨日は本当にありがとうございました」
「ヌナが来てくれて嬉しかったです」
「お粥とっても美味しかった」
めがねくんは
いつもの明るい声でそう言ってくれるけど
《まだ今週は無理しないで》
《出来れば早めに帰ってゆっくりした方がいいよ》
いつも残業続きで忙しそうにしているし
きっと
目に見えないストレスや疲れが溜まってるんだ
だからそう声を掛けるのに
「大丈夫です」
「休んでた分取り返さないといけません」
泳いだような瞳と沈んだ声をして
そう私に答えてくれていた
仕事の成績や肩書ってそんなに大切なの
・・・・・
カレが異例の2年目なことぐらい
イヤってほどわかってる
でも・・・・・
アナタの住んでいる世界はどこなの？
今 どんなことを考えて感じているの？
近づきたいの
もっともっと教えて欲しいの
どうしたらアナタの本心を知れるの？
いったいアナタは何者なの？
わからないことばかりで・・・・・
聞きたいことばかりで・・・・・
それなのに
臆病で怖がりの私は
何も出来ずにいるの
《お昼からも無理だけはしちゃダメだよ》
《お薬ちゃんと飲んでね》
結局
こんなことしか言ってあげられなくて
社屋に戻るカレの後姿を
ただただ
見えなくなるまで見つめることしか
出来なかった
私・・・どこまで情けないの
28歳になってまで
どうしてこんなにも
ウジウジ 悶々としてばかりなの
何度ため息をついても同じなのに・・・・・
わかるのは
はっきりしているのは
めがねくんが好きだと言うことだけなの
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作者名：くじら | 作成日時：2017年5月15日 18時
