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『あー……』
あの後家まで送ってもらって、しばらく休養する事となった。
する事もなくただベッドの上で、本を読むか携帯を触るか、ぼーっとするしかできなくて。
なかなかに気が滅入る。
縫ってもらったとはいえ傷口が痛い。
……本当に何やってんだか。
改めて近接の弱さを自覚した。
術式に頼り過ぎた結果だよね、きっと。
「ただいまー」
玄関からする声に
寝室からおかえりーと声をかける。
「A調子はどう?」
『…今までで一番痛いです、』
「無理しないでね、治るまで仕事休んでいいってさ。」
私に当てられてた任務は誰かが代わってくれたのだろう。
申し訳なさでいっぱい。
「Aには悪いけど、しばらく休みで家にいてくれるのは僕は最高に嬉しいな。」
ポンポン、と頭を撫でられて、シャワー浴びてくるねと出て行った。
読みかけの本を再び手に取った。
『…難しくてわかんないや。』
国語とか文章理解するのって苦手。
最後まで読み切って内容が理解できなかった。ただ結末を知っただけ。
家にいるのに何ひとつ家事せず。
ただ寝てるだけで1日終わってしまった。
…明日はもう少し動けるかな。明日こそ何かしよう。
「A寝た?」
『起きてるよ、早かったね。』
「Aがいると思うとゆっくりシャワーするより一緒に過ごしたい。ご飯食べた?まだなら何か用意するよ。」
まだ食べてないけど、傷も痛いし食べる気力がない。
だから「食べたよ」と言うと、わかったと一人でキッチンへと向かった。
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「一緒に食べよ、食べてないのぐらいわかるよ。」
しばらくして、また寝室に来た。
おぼんにお粥を乗せて。
「はい、あーん。」
『…自分で食べれるよ。』
「だめ、怪我人でしょ?どろどろに甘やかしてあげるから甘えて?」
『どろどろって………おいし、』
「Aって僕に心配かけるの好きだよね。」
『……ごめんなさい。』
もっと頼って、と悲しげに視線が合う。
好きな人にこんな顔させて、本当にだめな人間だなとつくづく思う。
「謝らなくていいよ、最強の彼氏にもっと頼ってよ。Aの事が大事なんだ。なによりも。」
真剣にそう言われるもんだから、目頭が熱くなった。
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くまこ(プロフ) - riyaさん» ありがとうございます(;o;)先程番外編公開しました! (2021年8月21日 9時) (レス) id: aae8dbd6e7 (このIDを非表示/違反報告)
riya(プロフ) - 良かったです。番外編楽しみに待ってます。素敵な物語を読めて感謝 (2021年8月21日 9時) (レス) id: 0599723b2d (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (2021年8月18日 0時) (レス) id: 45252353b5 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん - 次も、楽しみにしてます (2021年8月17日 12時) (レス) id: 104e5b7174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くまこ | 作成日時:2021年8月10日 20時