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●細やか過ぎる悪戯心。 ページ21

窓の外に目を見やると、外は明るくなっていた。

夜明け直前であり夜勤も終わりに近いということだ。

デスクの上を片付けていると、簡易キッチンの方からは陶器がぶつかる音が聴こえてきた。

Aさんが先程のカップやポット達を片付けているのだろう。


何気なく彼女のデスクに目を向ける。

物が少ない…やけに綺麗なデスクだった。

こんなにも物が無いのか、と思う程に。

元々、あまり生活感の無い人だとは思っていたが。

ぽつんと置かれた、茶色の革の手帳。

いつも持っているそれは俺と同じで仕事に使う大切な物なのかもしれない。


「殺風景なデスクでしょう?」


突然、声を掛けられて顔を上げると彼女が立っていた。

じろじろ見てしまいすみません、と口に出しつつ確かに彼女のデスクは片付いているというよりも、殺風景と言った方が適切だったかもしれないと思う。


「戸締まりは私がやっておきますので先にお帰りください」

「有難うございます。…お陰様で書類も大分片付きました」


互いにお疲れ様でした、と言葉を交わし俺が扉の前迄行くと彼女が呼び止める様に俺の名前を口にした。

振り返ると申し訳なさそうに、だがその割にはにこにこと笑いながら彼女は俺の元へ駆け寄る。


「すみません、実は私、悪戯をしてしまいました」


お気付きになるかと思ったのですが…と告白される。

俺に至ってはまさか彼女がそんなことをするなんて想像もしなかったし、全く気付かなかった。

恐らく眠っている間にされたのだろうが…。

古典的に顔に落書きでもされたのだろうかと顔をぺたぺたと触ってみる。

だがいくら悪戯とは言え、太宰とは違いAさんだ。

そこまで悪質なことはしてないだろう。


「落書きではないですから、大丈夫です。ただ…すみません、本当に好奇心で髪を結わせて頂きました…」


俺の反応があまりに薄かった所為かいよいよ本当に申し訳なさそうに彼女は言う。

だが俺としては変な悪戯ではなくて安心したというより、大分拍子抜けだった。

悪戯の内容はやはり彼女らしい。

強いて言うなら可笑しいかもしれないが…そこには少しほっとした。

髪に触れると確かにしっかりと結われていた。


「本当にすみません」


確かに悪戯はされたくはないのだが…髪を結われただけであり何より彼女だ。

俺は怒れない。


「いえ、寝てしまった俺が何か言える立場ではないですから」


不快感があまりしないのは彼女特有かもしれないと俺は思う。

◆秘密は人を酔わせる。→←●微笑の向こうに。



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(プロフ) - 蒼霧零夜さん» 初めまして、いつもありがとうございます!このような稚拙な作品ながら楽しんで頂けているようで非常に嬉しいです!後半に突入しましたので最後まで楽しんで頂けるように頑張ります! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 1ae1c9db61 (このIDを非表示/違反報告)
蒼霧零夜(プロフ) - 初めまして、蒼霧零夜です。何時も楽しくこの作品を読ませて頂いています。これからも、更新を楽しみに待っています! (2019年7月14日 19時) (レス) id: 1854068e39 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あざる!さん» ご指摘くださりありがとうございます。私が操作している訳ではないのですが、更新するとそうなってしまうようです。今まで指摘もなくこちらとしましても特別不便なことはないので放っておいていました。正しい作成日時はこのページの一番下に記されております。 (2019年7月6日 22時) (レス) id: 1ae1c9db61 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 草神 桜月さん» 嬉しいです!イメージは日常なのであまり勢いづかないように書くよう心がけています。勿体無い程のコメントで非常恐縮です。ありがとうございます! (2019年7月6日 22時) (レス) id: 1ae1c9db61 (このIDを非表示/違反報告)
あざる! - いつも新着順に乗ってるんですけど、どうやってるんですか? (2019年7月6日 21時) (レス) id: bcf0550a7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年2月26日 17時

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