《第八話》 ページ10
「ちょっと迷っちまってな、俺たちの道案内をしてくれねぇか？
……なぁ？ 嬢ちゃん」
『え……』
ニヤニヤと手を掴む大柄な男たち５人
それは先ほど路地で絡んできた輩たちだった
いやぁ嬢ちゃんを探すの大変だったんだぜ？と細かく経緯を教えてくれる
別に聞いてない。興味ないから、お願いだから手を離して
Aはギチギチと締まっていく左手首を見つめ、眉を顰める
さっきからうまく呼吸ができない
冷や汗が止めどなく流れる
怖いという感情がぐるぐると、永遠と思えるほどに頭の中をまわる
『(この症状は確か、
ストレスを感じた時に脳の一部をコントロールできないとか……)』
走馬灯のように蘇る記憶
そのうちの一つ、本の中に同じ症状が書かれていた本の内容を思い出す
対処法を冷静に思い出そうとする
冷静に……冷静に……
そう冷静に
……冷静？
『(あれ、
冷静ってなんだっけ……)』
頬を冷や汗が伝う
再びAはパニックになった
背中が悪寒やら汗やらで気持ち悪い
思考が、まとまらない
「＿＿＿＿ってことでようやく俺らは嬢ちゃんを見つけたっていう話だ
そういうことだから、今度は大人しくしててくれよ？」
“A・アジームの嬢ちゃん”
『(なっんで、それを……！？)』
Aの目が大きく見開かれる
瞳孔が激しく揺れ、焦点が合わない
『(クソ……！)』
迫りくる男たちの手
Aは必死に覚えたての攻撃魔法で自衛する
が、相手には手も足も出ず
次第に体力も魔力も尽きてしまった
そんな時に脳裏に浮かんだのが、
「A！」
会ったばかりの
それも名前しか知らないヤツだなんて
そんでもって
そいつのことを考えるだけで口が弧を描くなんて
『……バッカみたい』
屈辱と期待感が交互に感情を脳を占める
涙を拭いて、震える喉を押さえながら
Aは今まで人生の中で一番大きい声を出した
『助けて……カリム！！』
「＿＿＿＿おう 今来てやったぜ！」
Aの意識が途切れる直前
カリムとは似ても似つかない黒髪の
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作者名：好好爺 | 作成日時：2023年12月1日 18時
