《第十五話》 ページ17
『だ、誰!』
Aはカトラリーとして置いてあったスプーンを構える
これでも無いよりはマシだ
少女はその様子に面を食らったように見つめる
「……ふ、あははは!」
が、次の瞬間今まで取り繕っていたのを諦めたように
肩を震わせながら少女は笑った
『(何がそんなに面白可笑しいんだ)』
戸惑うAをよそに少女を続けた
「あぁ、ごめんなさい 思わず笑ってしまって」
“スプーンで戦おうとする人なんて見たこと無かったから”
『(フォークやナイフにすれば良かった……)』
Aは耳をほんのり赤く染めると、元の場所にスプーンを戻した
『で、あなたが私の従者?』
怪訝そうにAは少女に尋ねる
対応するように、少女は柔らかく腰を曲げた
「初めましてA様 以後従者をさせていただきます
ナジュマ・バイパーと申します」
返事の仕方を知らないAは困惑する
迷った末、小さくお辞儀をした
ナジュマはAの挙動に小さく笑う
「その返事の仕方も、教育係の方に教えてもらいましょう」
『……教育係?』
慣れない単語にAは首を傾げる
「当主様から聞いていませんか?
この度、A様には教育係が付くことになりました」
『え……』
「ちなみに扉のすぐ奥に居ますよ」
『早すぎない?』
せめて父さんから伝えてほしかった
「じゃ、その教育係呼んできますね!」
『え、ちょっ……』
“待って”
Aが言い終わるよりも早く、扉は開く
そして出てきたのは
「初めまして____
……じゃないな」
『奇遇だね』
この間会ったばかりな黒髪の少年だった
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作者名:好好爺 | 作成日時:2023年12月1日 18時