《第八話》 ページ9
「──さて、ユウさん。大変残念なことですが……貴方には、この学園から出て行ってもらわねばなりません。心配はいりません。闇の鏡がすぐに故郷へ送り返してくれるでしょう。
さあ、扉の中へ。強く故郷のことを念じて……」
「長い夢だった……」
彼らは闇の鏡の前に再び立ち、元の場所に戻るように願う。
しかし……
「この者のあるべき場所はこの世界のどこにも無い……無である」
「なんですって?そんなこと有り得ない! ああ、もう今日は有り得ないのオンパレードです。」
『大変ですね』
「他人事のように言わないでください!!
私が学園長になってから、こんなことは初めてでどうしていいか……。
そもそも貴方どこの国から来たんです?」
「実は……」
そしてユウと名乗るその男の子は自分の故郷だという場所について語りだした。
「そんな地名は聞いたことがない。 一度図書館で調べてみましょう」
三人は移動し図書館へ来た。
が、そこでまたしてもユウの出身国のめぼしい情報は手に入らなかった。
『どうしましょうこの子。さっきのデカ狸みたいに放り出します?』
「えっ」
「物騒な事言わないでください。彼は魔法が使えないし、保護者に連絡することも叶いませんが、無一文の若者を放り出すのは教育者として非常に胸が痛みます」
『痛む胸なんてあったんですね』
「う〜ん……そうだ!学園内に今は使われていない建物があります。
そこであれば、しばらく宿として貸し出して差し上げましょう!
その間に貴方が元いた場所に帰れる方法を探るのです。
あ〜なんて優しいんでしょう、私! 教育者の鑑ですね」
途中茶々を入れるもガン無視されAは不服だった。
だって事実だし、この主人、絶対胸なんて痛んでないし。
八つ当たりで睨んでみてもその仮面の下で何を考えているか、全く予想できなかった。
「自己完結しちゃってるみたいですけど、大丈夫ですか? あの変な学園長さん」
『大丈夫です。 いつもあんな感じの変な方なので』
「そこ!なに二人でコソコソ喋ってるんですか! 早く行きますよ!!」
急かされるまま二人は学園長に着いていった。
ここに来て不安だったユウ。早くもAという気の合う人が出来てひと安心していた。
『学園長、そろそろ自分はオクタヴィネルの方に向かわせていただきます』
「……あぁ、例の契約の件ですね。 分かりました。そちらはAに任せます」
「え」
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好好爺(プロフ) - 星詠みさん» コメントありがとうございます!!早速更新させていただきました!気づいたら亀更新してしまう作者なので度々教えてくれると助かります……! (9月28日 23時) (レス) id: eeb0faecb7 (このIDを非表示/違反報告)
星詠み(プロフ) - 続きいつでも待ってます‼︎ (9月28日 22時) (レス) @page17 id: 674129e800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:好好爺 | 作成日時:2023年9月19日 14時