《第六話》 ページ7
『ところで非常食、あなたのお名前は？』
「オレ様にその席を譲るんだゾ！！」
『やはり我流の礼儀作法通り、あだ名は非常食よりデカ狸の方が良かったのでしょうか……あっ』
しばらくツンツンと狸を指でいじっていたAであったが、勢いよく暴れてしまったために逃げ出してしまった。
「待ちなさい！ この狸！」
「そこのニンゲンと違ってオレ様は魔法が使えるんだゾ！ だから代わりにオレ様を学校に入れろ！」
「みんな伏せて！」
「ん゛な゛〜〜〜！！」
辺りに青い火が広がる。
赤髪の男子生徒の一言で大勢の生徒が被害なく逃げることが出来た。
しかし、それを聞き逃したのか闇の鏡の前に人影が。人影は後ろから迫る火の手に気づいていないよう。
Aはその状況を見逃さなかった。
魔法を使わずクルリと体を捻って火を避け、人影の元へ行く。そのしなやかさは、さながら猫のよう。
『無事ですか？』
「あ、ありがとうございます」
人影は件の魔力の無い男の子だった。
Aは彼の体を軽々と持ち上げ、行きよりも丁寧に火の上を飛んだ。
ちなみに本人は気づいていない。
今の行動が無意識のうちにあった学園長へのほんのちょっとの信頼でできた行動とは。
「うわあ！！ あちちちっ！ 尻に火が！」
「このままでは学園が火の海です！ 誰かあの狸を捕まえてください！」
とはいえ、Aが一人を助けても学園は未だパニック状態。
それもそのはず、この場には知識と経験の乏しい新入生だらけなのだから。
本来統率を取るべき学園長は人権が無いし、それをフォローする立場のAは人権はあれど、統率を取ろうとすらしない。
『学園長も大変そうですよねぇ』
「そ、そうですね……」
そんな人権に興味無しのAはとなりにいる男の子に話しかけていた。
自分の肩にまで届かない小さなその体はどこか小動物のような庇護欲が出てくる。
ま、要するに暇つぶしの相手にもってこいと言うことだ。
「チッ……かったりぃな」
「アラ、狩りはお得意でしょ？ まるまる太った絶好のオヤツじゃない。」
「なんで俺が。テメェがやれよ」
「み、皆さん、動こうとしませんね……」
『ここNRCはそういう奴らで構成されています。ここにいる以上君も気をつけてくださいね』
「……あ、はい！ が、頑張ります！！」
二人の間にほわほわと和やかな雰囲気が流れる。
しかしその周りでは火災発生、喧嘩発生という地獄絵図が起きていた。
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好好爺(プロフ) - 星詠みさん» コメントありがとうございます！！早速更新させていただきました！気づいたら亀更新してしまう作者なので度々教えてくれると助かります……！ (9月28日 23時) (
レス) id: eeb0faecb7 (このIDを非表示/違反報告)
星詠み(プロフ) - 続きいつでも待ってます‼︎ (9月28日 22時) (レス) @page17 id: 674129e800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：好好爺 | 作成日時：2023年9月19日 14時
