《第十六話》 ページ17
今朝、Aはオンボロ寮に来ていた。
ユウが雑用係から生徒になったお祝いのためである。
ピンポーン
野蛮な鴉とは違い、窓でなく入口の方から入ろうとするこの猫はまだ礼儀正しい方であった。
「はーい。 あ、今手離せないからエース代わりに出て」
「今、出まーす」
中からドタバタと音がする。小さく聞こえた会話にAの耳がピクリと動く。
エース?今、エースと言ったか?エースってあの問題児の?
なぜこちらに、まさか……ユウさんとそういう仲に……?
アッハンでアッフンなあの、あれに……?
……わお。
次第にAの頭の中は恋愛脳でいっぱいになった。
だって、一度そう考えてしまったんだもの。
玄関の戸がガチャリと開く。
Aは出てきた瞬間、
『不純行為はほどほどに』
と言おうとした。
……エースの首に巻かれた素晴らしい首飾りを見るまでは。
『……可愛いらしいですね』
「笑うなら笑えよ」
『……決して笑いません。 その代わりと言ってはなんですが、写真を取っても?』
「弄ぶ気満々じゃねぇか!!」
Aは小さく頬の端を染め、揚々とスマホを構える。
エースが顔を隠す暇もなく、連写された。すぐに写真はAのロック画面となった。
『学園長に送っておきます』
「やめろ!!」
『ですよね。 個チャよりもNRCの先生のグルに上げたほうが盛り上がりますよね』
「そういうことじゃねぇんだわ」
エースの努力虚しく、写真はマジカメ行きとなった。
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好好爺(プロフ) - 星詠みさん» コメントありがとうございます!!早速更新させていただきました!気づいたら亀更新してしまう作者なので度々教えてくれると助かります……! (9月28日 23時) (レス) id: eeb0faecb7 (このIDを非表示/違反報告)
星詠み(プロフ) - 続きいつでも待ってます‼︎ (9月28日 22時) (レス) @page17 id: 674129e800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:好好爺 | 作成日時:2023年9月19日 14時