《第十話》 ページ11
『自分と契約しませんか？』
「……詳しくお伺いしても？」
まさか相手から提案をされるとは。アズールにとって嬉しい誤算だった。
相変わらずの無愛想で滔々とAは言った。
『自分からの要求は、あなたの所持する契約書の反故です』
その言葉に真っ先に反応したのは思いもよらない人物だった。
「ふふっ、かわいい後輩相手に無慈悲なことをおっしゃいますね」
『えっと……』
「ジェイドだってば、いい加減覚えてよ。 アロワナちゃん」
『善処します』
ニコリと笑ってこちらを見るのはジェイド・リーチ、フロイド・リーチ。
こいつらは双子らしく、お互いの行動の端々に似たところがある。
例えば、人が急いでいてついつい、パルクールで屋上から下へ降りちゃったときとか。
学園長に恨みをもった不良に囲まれてついつい、お仕置きしちゃったときとか。
人の目というのはどこにあるのか分からない。
執着、不適、好奇心。
数日後、Aは双子に執拗に追いかけられることになる。
以来Aは双子に体の動かし方についてレクチャーさせられている。
『この契約、のんでくれますか？』
「そんな事できるわけ無いでしょう！！」
僕が今までどれだけの努力を……！！
そこまで言ってしまってアズールはハッとして口を閉じる。
むしろ弱みを手に入れているのは向こうだ。冷静にならなければ。
『では契約書のうち、特に大事な10枚を除いて……』
「不可能です。 それなら僕との契約はできませんね」
『そうですか。残念です』
では次の機会に、と言って席を立った。が、Aは一つ思い出したように呟いた。
『学園長はこの契約が成功したら、こちら側のラウンジの利益の取り分を5%まで下げていいと言っていましたね。
お互いにWin-Winな提案なのに。
気づいてもらえないなんて……
はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜…………ションボリ』
オクタヴィネル現寮長アズール・アーシェングロット。
容姿端麗、成績優秀という完璧なスペックを持つ、いわゆるエリートを地で行く彼。
そんな彼でも一つだけ未だに後悔していることがある。
「Aさん、プリンアラモードのおかわりが出来たそうですよ？」
『それはそれは。 嬉しい限りです』
それは、なぜこんなわざとらしい罠に引っかかったのかということだ。
この日を境にNRCはしょぼい魔法を使う名門校から脱却した。
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好好爺(プロフ) - 星詠みさん» コメントありがとうございます！！早速更新させていただきました！気づいたら亀更新してしまう作者なので度々教えてくれると助かります……！ (9月28日 23時) (
レス) id: eeb0faecb7 (このIDを非表示/違反報告)
星詠み(プロフ) - 続きいつでも待ってます‼︎ (9月28日 22時) (レス) @page17 id: 674129e800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：好好爺 | 作成日時：2023年9月19日 14時
