ダンスが俺の恋人 (ページ9)

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樹side

バン、とあの部屋を開けるとソファーに寝転ぶ大男が見える。

「ジェシー…」

そう呟くとガバっ、と起き上がる大男。

俺を見ると、ごめんなさい、と言わんばかりに眉毛を下げる。

ジ「ごめん、ジュリ…」

「…いいけど…」

怒るに怒れなかった。

ジェシーはダンサーとして雇った男だった。

ジェシーは、そんなつもりじゃなかったんだけど、彼があまりにも綺麗だったから、と焦ったように言い訳をする。

ジ「ジュリ、お願い、クビにしないで」

懇願するように手を合わせる。

「…しないけど、」

パァっと顔を輝かせるジェシー。Thank you！と抱きついてくるジェシーを足蹴にする。

「早く着替えて上で寝ろ」

今日も店に出てもらうからな、と言い残し、部屋を出ていく。

まさか北斗が体許すなんてな。

ものすごく弱っていたんだろう。仕方がないっちゃ仕方がないか。

煙草に火をつけ一口吸い込み、煙を吐き出す。

マジで慎太郎、どこ行ったんだよ。

イライラする気持ちを抑えるためにもう一度煙草に口をつけた。