ダンスが俺の恋人 (ページ16)

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ジェシーside

吐き気を抑えて真っ青な顔をした彼は目をぎゅっと瞑り、蹲っていた。

おんぶして帰った方が早い。

そう判断しておんぶの体制をとる。

乗って、と言うと彼は少し躊躇したが、大人しく乗ってくれた。

ゆっくり、ゆっくり、

彼がこれ以上気持ち悪くならないように、歩幅を狭くする。

いつの間にか眠ってしまったのか、小さな寝息が耳にかかって、くすぐったかった。

家に着き、おんぶしたまま彼のポケットから鍵を取り出し、家に入る。

綺麗で彼らしい部屋。

彼をベッドにそっと寝かし、部屋を見渡すと、綺麗に整頓された部屋の中で一つだけ伏せられている写真立てがやけに気になる。

多分、前の彼氏との写真。

そっと写真立てを起こすと、

本当に幸せそうな彼と、彼の彼氏が笑っていた。

「幸せそう、」

俺に入る余地は無いんだろうなぁ。

と、まざまざと現実を突きつけられる。

すると、うぅ、と呻き声が聞こえ、ベッドに近寄ると、慎太郎、慎太郎、と手を伸ばしていた。

？「いやだ、行かないで、」

涙を流しながら誰かを追いかけている。

痛々しい姿に胸が痛む。

「大丈夫、いるよ、」

ぎゅ、と手を握ってやると、彼は安心したようにとまた眠りについた。

俺はこの手を離す勇気は持ち合わせていなかった。