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＿＿＿＿＿＿＿だから、その男を見たとき、運命だ、と思ったのだ。
「…お、なんか取り込み中か？」
きぃ、と武器屋のドアが開き、一人の男が姿を現した。
頭にオレンジのテンガロンハットを被り、上半身には何も纏わず首には数珠風の深紅のネックレスをかけた男だった。惜しみもなく曝け出された胸筋とセンター分けのふわふわの黒髪が印象的だった。
ぽやぽやした顔をすぐさま引っ込めて、女はにっこりとお客様向けの笑みを浮かべた。ついでにつまみかけたピーナッツを皿に戻し、残っていた分を青年の小皿の方に移し替えて空の小皿をカウンターの奥に押しやった。
「いえ、お気になさらず。友人なの」
「お、そうかい。じゃ、飯を貰えるか」
「はぁい。何がいいかしら？」
「…ン〜〜…。…肉！！」
「なんでもいいの？」と問う女に、テンガロンハットの若い男は「任せる」と伝え、青年の二個隣に座る。テンガロンハットをチェアの後ろに引っ掛けて、小さな唸り声を上げながら腕を宙に伸ばした。ふと青年の方に視線をやると、「悪ぃな、邪魔しちまって」と口の前に手をやり眉を下げて軽く謝るが、青年はまともにそれに反応することができなかった。
かろうじて「…いや、大丈夫だ」とだけ返すと、両手を組みカウンターの木目に目を向けて俯く。その青年のおかしな挙動に若い男は不審げにするものの、特に気にする様子もなく欠伸をした。
青年の心は大荒れだった。胸の内に思い描いた、あの女のイイ男。きっと似合うだろうと思い描いた、オレンジが隣に座っている。
心のなかで思い描いた女の隣にいるべき男の容貌をこうして目の前にしてみると、案外何の感情も湧き出てこなかった。感情どうの、の話ではなかった。間違いなく青年は男の存在に動揺していたし、そして海軍という立場さえ忘れさせていたのだ。
「あ、そういえば新しくピーナッツを仕入れたの。いるかしら？」
「そんじゃくれ。あれか？」
「ええ、その彼がつまんでる物ね。…何寝てんのかしら」
「…あー、俺、邪魔だったか？」
「何言ってるの。友人だって言ってるでしょ」
ふんす、と「失礼しちゃう」と拗ねた顔をした女に、若い男は「悪かったって」と軽く交わして、ちらりと青年の方を見やった。何も反応せずに微動だにしない青年に、不思議そうに青年を見る若い男に、そんな二人を視界に収めながらカウンターの奥で手慣れた手付きで肉を調理する女。
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シオン(プロフ) - 主人公が格好よくて、憧れちゃいますね。それに、面白いです‼️ 続き楽しみにしてます❗ (2022年12月20日 14時) (
レス) id: b41969ae61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふつぃ | 作成日時：2022年11月22日 0時
