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深澤side
翔太の言葉で、なんかうじうじしてたのだせえなと思って。
翔太が帰るって言うから、ちょうどいいしA家に行こうと玄関を出たときだった。
向井「A、ついたで。起きれる？…」
聞き慣れた声がすると思ったら、視線の先にはAをおぶって歩いてくる康二がいる。それを見たとき、驚きと同時にものすごい黒い感情が胸を締め付けていく。
渡辺「え、康二？」
向井「あ、しょっぴーふっかさん、」
渡辺「え、Aどうしたの」
向井「今日一緒に飲んでて、寝ちゃって」
何も話せないでいる俺の気持ちを代弁するかのように翔太が話す。横目で俺の様子をうかがいながら、そして康二の表情も。
Aは大学に入ってから飲み会があって多少酔っても潰れたことはない。だから俺も知らないAが、今康二の背中で無防備に眠っているのだ。
理不尽だってわかっているけど、康二にも、Aにも、自分にもむしゃくしゃした。何もかも、自分のせいなのに。
渡辺「…ふっか、」
深澤「ありがと康二。あとは俺が部屋まで運ぶから」
向井「え、あ、いや…
…うん。ありがとう」
Aを起こしたくないのか、それともAを渡したくないのか、少し間が開いた康二を無視して、Aの鞄から鍵を取り出す。すると康二も背中から俺の手にAを移す。
Aを抱きかかえながら鍵を開けて、部屋まで運ぶ。慣れた手つきでそれが出来ることが、精一杯のマウントでもあった。
康二のことも、Aのこともなんとなく今は見れなくて。
Aをベットに降ろした後、座り込んで一人自分の小ささを思い知りただぼーっとしていた。
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作者名：紫乃 | 作成日時：2022年11月7日 1時
