13 ページ13
、
深澤side
桜に満足した頃、ちょうど母さんからうちにAちゃん連れてきなさいと連絡が来る。たぶん誕生日にご飯食べさせたいんだろうな。
それで深澤家に向かって帰っている道中。
「ふっかのおかげで、久しぶりにじっくり自分のしたいこと考えれて楽しかったよ」
深澤「ならよかった…って、ん！？」
Aから意味深なことを言われて。
一瞬固まって、すぐに状況を把握し始めた俺の動揺を見てAは笑った。
「しょっぴーがね、ふっかから誕生日にしたいこと聞き出してって頼まれたって教えてくれたの」
深澤「ちょっと待っ、聞いたの！？」
「うん。サークルの日に言われた」
深澤「翔太のやつ…！も〜なんなんだよ…」
「ナオも言ってたよ。ふっかはお姉ちゃんのことわかんないって笑」
深澤「待って、もう勘弁して…あー恥ずかし」
デートの終わりに、俺の目論見は何もかも筒抜けだったことがわかり、一気に顔が熱くなる。両手で顔を覆い、Aに見られないよう上を向いて歩いた。
だから突然Aのほうから誘ってくれたんだとか、一生懸命だけど明らかに一生懸命に見えてたんだろうなとか、結局何もできてないのばれてるとか理解し始めると、こんなに恥ずかしいことはない。
ナオは仕方ないとして。翔太！と心の中で叫ぶ。
でも「探るとか俺無理だから率直に言うわ」って言う翔太の姿、今なら想像できるわ。確かに翔太がそんな繊細なことできるわけない。とはいえ、この状況を面白がってるであろう翔太の顔は考えただけで…。
「ふっかがそんなに考えてくれてたと思わなくて、私適当だったよね。ごめん笑」
深澤「いやいいんだよそれは…」
「ふふっ、ありがとう。一番うれしいよ」
でも、なんだかんだこの瞬間が、今日の中で一番うれしそうな顔してるから。誕プレをあげたときより、桜の写真を撮っているときより、一番。
だから、間違ってはなかったのかなって、自分を慰める意味も込めて思いつつ、スキップしながら「ごはんごはん」言ってるAの後を歩いた。
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1881人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫乃 | 作成日時：2022年11月7日 1時
