HiGH＆LOW─destiny cloud─

ありがとう(広斗) ページ4

目が覚めると俺の腹の上に頭を置いてAが寝てた。






俺、何してたんだっけとか。






意味わからないこと思ったけど、すぐに思い出す。






俺、ついた瞬間に倒れたんだよな。







Aの寝顔に愛しくなって、髪をなでる。







今気づいたけど、怪我が手当されてる。






包帯が巻いてあるからかTシャツも着てない。






一瞬、服ぐらい着せろよと思ったけど。






こんな俺を運ぶことですらしんどいのに






服脱がせて手当してまた着せるなんてしんどいよなー。なんて思ったり。








こいつもやっぱり大変だなって思う。







喧嘩する彼氏に振り回される上に







高校行きながらこんなことまでしてる。






俺には絶対わからないことだけど。








「なんだよ。起きたのか。」





『あぁ。』






ふと、ITOKANの女が入ってくる。






こいつ、ヤマトってやつと付き合ってんのかな(確か大食いの)







まぁ、知らないけど。





「A、ずっとお前の事看病してたぞ。




ずっとお前に会いたがってたんだからな。




あの時からずっと。」






『あぁ。』






そうだと思う。






急に兄貴に連絡残して消えたんだ、兄貴の雅貴にも迷惑はかけたけど






こいつに苦しい思いさせてやりたくなかったんだ。







家村会にいるなんて








捕まったなんて








俺が言えるわけねぇだろ？






不意を突かれるなんて思ってなかったから







俺にはそれしかできなくて。






消えたんだから。








「好きなら守ってやれよ。」








そうとだけ言って、女は出てった。







いつ会えなくなるかわからない。







だからだということはわかってる。







でも、俺はこいつを捨ててどこかへ行こうとは思わない。







いれる限り、一緒にいるつもりでいる。







でも。






ありがとう。







こいつのそばにいてくれて。







山王のやつらに、そう言える気がした。
　
　
　
　
　
　
　
　
　

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